一方、「緑の甲子園」と言われる全国高等学校・中学校ゴルフ選手権大会にどれだけの人が注目しているか謎だし、注目しているのは関係者だけで、ゴルフ愛好者でも知る人ぞ知る大会なのではないだろうか。宮里さんが通った東北高校や、松山英樹など強豪選手を輩出してきた東北福祉大など有名校もあるが、他スポーツの強豪校ほど世間一般で有名かと言われれば、答えはノーだろう。

 そして、業界を挙げた体系化した育成システム作りは当然必要だが、それ以上に重要となるのは高校や大学などの大会をしっかりと訴求し、メディアに取り上げてもらうことだ。ゴルフは個人スポーツで、部活動ではなくジュニア時代から個々にコーチに師事することがプロゴルファーになるための主要ルートの一つ。実際、そうしたシステムの中で「黄金世代」や「プラチナ世代」など次々にヒロインが誕生する女子ゴルフが存在していることは事実だ。

 しかし、より多くのスターを生み出すためには、例えば「緑の甲子園」のようなアマチュア大会が、スポーツニュースなどで扱われる機会を増やすべきだろう。こうした大会が認知されれば、当然プレーしていた選手は脚光を浴びる。脚光を浴びれば、選手もさらに努力しスキルアップする可能性も高くなる。

 そして、そんなジュニアゴルファーたちが次々とプロトーナメントで活躍し、プロ転向それは若きスターがツアーに参入することであり、自然とツアーの人気もアップするはず。いつ吹くかわからない神風を待っているのではなく、スターが育つ「箱」を設け、それを世間にしっかり発信することで、自ら風を吹かすことができるのだ。

 今でも将来有望なジュニア層がプロの大会に出場しているが、これはあくまでも限られたジュニアだけのもの。やはり、ジュニアゴルフそのものの人気を高めて、トップの人気を押し上げるボトムアップ型のシステムとすることで、プロツアーは息の長い繁栄を享受することになるのだろう。