日ハムのファンフェスでランボルギーニから降り立った新庄剛志監督
日ハムのファンフェスでランボルギーニから降り立った新庄剛志監督

 新庄はマスコミの使い方をよくわかっている。彼にとってマスコミとは、自分の言葉や行動を広く伝えるための手段である。新庄はここぞという場面で言葉を巧みに用いる。「ビッグボス」という呼称もその典型例だ。

 監督就任会見で彼は、自分のことは監督ではなく「ビッグボス」と呼んでほしいと言っていた。これを受けて、いまや新庄に関するネットニュースや新聞記事ではほぼ例外なく「ビッグボス」という呼称が用いられている。みんなが言いたくなる言葉を自分から発信することで、多くの人を自分の世界に巻き込むことに成功しているのだ。

 それ以外にも、異常に襟の大きい服を着て監督就任会見に臨んだり、練習ではワゴン車の屋根に登って指導をしたり、ビジュアル面でもマスコミが取り上げたくなるようなツボを見事に押さえている。

 プロ野球界に舞い降りた稀代のエンターテイナー「ビッグボス」新庄は、コロナ不況に沈む日本を明るくしてくれる救世主となるかもしれない。(お笑い評論家・ラリー遠田)

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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