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「私にも、そんなときがありますよ」

 川田さんの場合は、番組収録、ときには生放送という極めて緊迫したシチュエーションでその葛藤をすることになる。

「出演されている方の発言に間違いがあって、それが重要なものだったり、その間違いのもと話が進んでしまう可能性があったりすると、間髪を入れずに強めの声や言葉で訂正しますが、そうではなく、自分の考えや意見を伝える場合は私も、『言ったほうがいいような気がするけど、今じゃないかなぁ』『言い出しにくいなぁ』と迷います」

 そんなとき、川田さんはどうしているのか。

「その話題に直接ズバッと口をはさむと、場の空気を断ち切るだけでなく真意が伝わらないこともあって、結局自分が損をします。そこは様子を見ながら適切なタイミングをうかがって、ほかの方が発言したときに『そうですね、私もそう思っているんです』と受けてから、『先ほど◯◯さんがおっしゃったことについては、私はこう考えています』と伝えるなど、ゆるっと回り道をするようにしています。発言しなきゃと焦る気持ちもわかりますが、時間が限られていたとしても1分1秒遅れたからといって受け取られ方が劇的に変わることはないと思うんです。タイミングが後になったとしても、違う話題から入ったとしても、元の話題に戻れるんですよ」

 できるだけやわらかい言い回しや声で自分の言葉を伝えるのが秘訣だというが、いざ発言するとなると緊張して声が裏返ってしまいそう。

「第一声って、むずかしいですよね。『おっ、川田が発言するのか!』と注目されると、余計に緊張します。だから私は、ほかの方がお話されているときに、『う~ん』『なるほど~、そうかぁ』など周囲の人たちが不自然に思わない程度の音量で、声を出していきます。相づちや、心から漏れてしまった声といった感じなら、誰もおかしいとは感じないですよね。そのボリュームを少しずつ上げていき、そのうえで発言するとスムーズにいきます」

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転職や異動のときに使える川田メソッドとは?