お笑いコンビのシソンヌ。右がじろう。左は相方の長谷川忍
お笑いコンビのシソンヌ。右がじろう。左は相方の長谷川忍

「孤高のコント職人」と評されることの多い、お笑いコンビのシソンヌ。2006年の結成以来、ネタ作りのすべてをじろう(43)が担当し、相方の長谷川忍(43)と織りなす独創的な世界観は各界で高く評価されている。2014年の「キングオブコント」(KOC)では並みいるコント芸人たちを押しのけ頂点に立った。

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 最近ではさまざまなお笑い番組に出演し独特な存在感でお茶の間に食い込む一方、じろうは12月17日からAmazonプライムで配信されるオリジナルドラマ「No Activity/本日も異状なし」(豊川悦司・中村倫也主演)の脚本を担当し、がぜん注目を集めている。民放ドラマを手掛ける脚本家は言う。

「『No Activity~』は豊川悦司さん演じる万年ヒラ刑事と、中村倫也さん演じる刺激をほしがる今どきの刑事によるコメディー版の『相棒』といった雰囲気。しかし、そこはじろうさん脚本ですから、地上波ドラマではありえないような変人キャラたちが事件をかき乱し、二転三転しながら怒涛の展開をみせるようです。共演者には木村佳乃さん、清野菜名さん、岸谷五朗さんとなかなか豪華なメンツがそろっており、じろうさんがコントで培った変人キャラをどう落とし込み、作り上げるか楽しみです。主演の豊川さんも、『脚本が秀逸で、個性あふれる登場人物たちのやりとりと、彼らが織りなす先の読めない物語を楽しんでいただきたい』とコメントしています。脚本の完成度にはうるさいことで有名な豊川さんが太鼓判を押したということで、業界内ではかなり注目を集めています」

 2019年の大河ドラマ「いだてん」への出演を機に、役者としての出演も増えてきたじろうだが、今回は裏方へ回る。芸人兼脚本家といえば、深夜ドラマ「架空OL日記」で向田邦子賞を受賞したバカリズムという成功例もある。シソンヌじろうは先人に続くことができるのだろうか。

「バカリズムさんは大喜利的思考を張り巡らせて規格外の物語を生み出し、それでいてウェルメイドに落とし込むのが特徴。一方、じろうさんはとにかくキャラを深く掘り下げて描き切り、唯一無二なキャラを自在に動かしていくことで、独創的な世界を構築していく。どちらもオリジナリティーを生み出せるという意味では、並みの脚本家よりよっぽど優れていると思います。もともとシソンヌはコントしかやらない超ストイック芸人というイメージでしたが、最近では数々のバラエティー番組でキャラ芸を披露して爆笑をとっています。脚本への挑戦で、コンビの今後も変わっていくでしょう。間違いなく、シソンヌは生まれ変わろうとしていると思います」(前出の脚本家)

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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