「子どもには『あえて』期待をかける」と語る杉山奈津子さん
「子どもには『あえて』期待をかける」と語る杉山奈津子さん

 うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、今や小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中でとり入れている心理テクニックや教育方法をお届けします。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』も絶賛発売中です。ぜひご覧ください。

【開成元校長が教える!子どもの好奇心を後押しするために親が意識したい4つのポイント】

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 私は子どもに「あえて」期待をかけるよう、日々努めています。

「あなたならできる」ということを、自分の過去の体験や、偉人がとった行動の話などの例を添えて、強く言い聞かせています。

 ……というのも、子どもとは、期待をかければかけるほど、実際に伸びていくものだからです。

 それは決してスピリチュアルな話ではなく、論理的に証明されています。

■「伸びる」と信じて期待をかけると、実際に伸びる

 アメリカの心理学者、ローゼンタールが行った有名な実験があります。知能テストという名目で、小学校の子どもたちに試験を受けさせました。

 そしてその結果と名簿を見比べながら、ローゼンタールは教師に向かって、「AさんとBさんとCさんはこの先、成績が伸びるだろう」と伝えました。

 すると数カ月後、実際にAさんとBさんとCさんの成績が上がっていたのです。

 驚いた教師は、「どうしてこの3人が伸びるとわかったんですか」と尋ねました。すると、ローゼンタールは、こう答えたのです。「適当に選びました」。

 この実験から、教師が3人の児童の成績が伸びると信じて期待しながら指導したために、またその3人も期待されていることを意識し応えようとして、自分で考え行動する機会が増えたために、実際に成果を出すことができたのだ、という結論が導き出されました。

 これは、教育心理学で「ピグマリオン効果」、別名「教師期待効果」と呼ばれています。

 また、私が大学でひたすら実験をしていた時に、「セレンディピティ」という言葉をよく聞きました。

 科学実験でよく使う言葉なのですが、何かを探している時に、偶然、別の価値あるものを見つけられることをいいます。

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杉山奈津子

杉山奈津子

杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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