お笑いコンビ「蛙亭」。左から中野周平とイワクラ(C)朝日新聞社
お笑いコンビ「蛙亭」。左から中野周平とイワクラ(C)朝日新聞社

 最近、バラエティー界でめきめきと頭角を現しているのがお笑いコンビの蛙亭だ。2011年にコンビを結成し、イワクラ(31)と中野周平(30)による異色の男女コンビだ。今年の「キングオブコント2021」では決勝に進出。出演が一番手だったため高得点とはならなかったが、人造人間のネタで高評価を獲得し、オリジナリティーあふれる世界観が話題となった。放送作家は2人の実力についてこう語る。

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「あの人造人間のネタは蛙亭にしか出せない世界観がさく裂していました。賞レースの場合、トップバッターに高得点をつけると採点の幅が狭まってしまうため、審査員はどうしても低く点数をつけてしまいがち。あの爆発力のあるネタがもし後半で披露されていたら、きっと上位3組にも残れた。蛙亭のネタはイワクラが作っており、その独創的な世界観は若手随一です。彼女の陰に隠れていますが、相方の中野の非凡な見た目と圧倒的な演技力は、コント師の中でも相当な評価を得ています。蛙亭のネタはぶっ飛んだ設定が多いのですが、中野のたしかな演技力でちゃんと視聴者が見やすいところにまで連れて行ってくれる。相当バランスにたけたコンビだと言えます」

 ちなみに、中野は映画界からも注目を集めており、6月公開の『青葉家のテーブル』ですでにスクリーンデビューも飾っている。

 お笑い評論家のラリー遠田氏も蛙亭をこう絶賛する。

「イワクラさんが作る蛙亭のネタの面白さの秘密は『せつなさ』です。さまざまなシチュエーションで追い詰められたり、必死になったりする人間のせつなさが描かれることが多い。蛙亭のネタにはちょっとした下ネタ要素が入っていることもありますが、それは奇をてらうためではなく、あくまでもせつなさを醸し出すための“素材”として用いられていることがほとんど。コントでありながら純文学のような味わいが残るその芸風は唯一無二だと思います」

■コンビ仲は「意外といい」

 イワクラは宮崎県、中野は岡山県出身だが、大阪NSCに同期として入学。相方が見つからなかったため、「相方探しの会」に参加して、中野からイワクラに声をかけてコンビを結成したという。

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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