アイナ・ジ・エンド(撮影/写真部・高橋奈緒)
アイナ・ジ・エンド(撮影/写真部・高橋奈緒)

そういう出来事が制作の時期にあったから、自分の心境や出来事が投影されやすかった。今もある程度は、自分のつらい出来事を歌詞やフレーズに落とし込むという作業は続けてはいるけれど、それってすごく生きづらくて。最近の制作方法としては、自分の感情だけを押し込んでいるというよりは、一歩引いた目線になりました。自分でもびっくりするぐらい、表現を落とし込む方法は日に日に変わっていくなと感じています。たぶん半年後や1年後には、自分の言っていることは変わっているんじゃないかな。来月(11月24日)に発売する2枚目のアルバム『THE ZOMBIE』も、ファーストとは全然違う顔を持った曲ができたなと思っています。

――2枚目のアルバムでは、どんな「違う顔」が表れていますか。

ファーストは音楽プロデューサーの亀田誠治さんが編曲をしてくださっていて、私の拙いデモが、亀田さんの手によって音楽になるのが本当に楽しくて、それだけでやっていました。今回はお友達や周りの人と、街のスタジオとかで一緒に楽器を演奏してデモを作ったりして、一緒に音楽を作り上げたところが、大きく違うところです。サウンド面では「どうしてもこういう音が作りたい」といったように、前回よりも少しわがままになれたし、わがままになれるだけの知識が、前よりも少しだけ増えた。ひずんでいく音やクリーンな音……。音にはいろんな顔があって、その音を選んでいくことがとても楽しいし、これからも勉強していきたいです。

――BiSHのデビュー当時と比べて、周りの注目度も上がりました。環境が変わっても「変わらないもの」はありますか。

最近つくづく思うのは、私は歌とダンス以外できないということ。それ以外ができると思い込んでしまう世界に、最近います。例えばファッション誌に呼んでいただくことも、作詞作曲もそう。本当に大好きなことなので、やらせていただいて最高に幸せですけれど、それだけで生きていくのは私には絶対に無理なこと。

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アイナにとっての「変わらないもの」