アイナ・ジ・エンド(撮影/写真部・高橋奈緒)
アイナ・ジ・エンド(撮影/写真部・高橋奈緒)

コンテンポラリーで、あまり型にはまりにいかない人でした。型にはまらないスタンスは私も影響を受けていて、曲を作るにあたっても、例えば「Aメロ→Bメロ→サビ」というキャッチ―な構成じゃなくて、「Aメロ→Aメロ→Aメロ→Aメロ→大サビ」の構成の『きえないで』みたいな曲ができた。

――創作に影響を与えてくれたアーティストや本があれば教えてください。

子供の頃からBUMP OF CHICKENさんがすごく好きで。特に歌詞は大人になってから聴くと、意味がよく分かるようになっていたりします。でも、子どもの時は子どもなりにその歌詞を解釈していて、老若男女みんながいろんな角度からバンプが好きだというのはすごいことですよね。私も特定の人にしか刺さらないんじゃなくて、いろんな人に届く音楽が作りたいなと思っています。本はいっぱいあって、ただただ好きなのは太宰治なのですが、影響を受けたという点でいえば、窪美澄さんや一木けいさんの作品です。あんなふうに生々しくて、なのに幻想的な言葉遣いは私にはまだまだ全然できていないと思っていますが、憧れはありますね。

――歌詞からは、言葉への強いこだわりが感じられます。

この1、2年ぐらいで、言葉が一番大事なんだなって思うことが増えました。最近も、人とケンカしてしまったことがあったのですが、その時も、態度とかじゃなくて、言葉が一番伝わるものなんだと実感したんです。今までは行動で伝えていくというのが自分のスタンスだったんですけど、行動よりも言葉なのかなと思うようになってきて。伝わってしまうという意味では言葉って本当に怖いものだと思うし、だからこそ大事にしたいです。

――歌詞では心の痛みも表現されていますが、負の感情やその時点での心境が投影されているのでしょうか。

ファーストアルバムを制作していた頃にICUに担ぎ込まれた友達がいて、その時期に自分も影響を受けて、息が上手くできなくなって。

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「歌とダンス以外できない」と語る理由