ヤクルト・高津臣吾監督(左)と阪神・矢野燿大監督 (c)朝日新聞社
ヤクルト・高津臣吾監督(左)と阪神・矢野燿大監督 (c)朝日新聞社

 ヤクルトのセ・リーグ優勝が目前に迫っている。

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 昨年まで2年連続最下位だった球団の躍進には球界全体が驚いている。チーム一丸となり日に日に強さを増していった戦いぶりは「あっぱれ」と言うしかない。

 対照的だったのが阪神。春先には独走状態だったが後半戦に首位を明け渡した。勝負どころで差が出たヤクルトと阪神の違いはどこにあったのだろうか。

「ヤクルト、阪神とも球団編成はしっかりしていた。昨オフから適材適所の補強を行い戦力は整っていた。とはいえタラレバになりますが、阪神が普通に戦っていればここまでの失速はせず優勝できたはず。春先の好調で浮き足立ってしまったのかな。逆にヤクルトは弱者であることを忘れず戦い方がブレず戦力を有効活用できた」(在京球団編成担当)

 今季は阪神を優勝候補に推す声は多かった。藤川球児は現役引退したものの、昨季セーブ王のスアレスを中心とした盤石のブルペン陣は健在。エース西勇輝を軸とした先発陣も頭数が揃った。打線は大型新人の佐藤輝明、韓国プロ野球で二冠王のロハス・ジュニアを獲得。戦力の充実度はライバル巨人に引けを取らないものだった。

 対してヤクルトを上位と予想する者はほぼ皆無。昨オフにFAで流出が濃厚と見られていた主砲の山田哲人、エース小川泰弘、クローザー石山泰稚が揃って残留したが前評判は高くなかった。しかし蓋を開けてみれば既存の戦力と、助っ人のサンタナ、オスナなどの新戦力が上手くかみ合い予想外の躍進を果たした。

「阪神が春先に走ったのは予想通り。調子が悪い選手がいても他でカバーできるだけの豊富な戦力がある。ヤクルトは地味ながら良い補強をしていたのでAクラスはあるかなと。山田、小川、石山も残留して普通にやればそれなりに結果は出すと思ったが、ここまでとは。下馬評を覆すまさかの展開で驚いた」(在京球団編成担当)

 開幕ダッシュに成功した阪神は4月4日から首位に立ち、一時は2位巨人に最大8ゲーム差をつけていた。08年に13ゲーム差を巨人に逆転されたこともあるが、多くのファン、関係者は早い段階で優勝を期待し大いに盛り上がった。6月16日に大阪市内で開かれた阪急阪神ホールディングス株式会社の定時株主総会では、チームが強いことで阪神への質問が飛び出さないと言う珍しい現象も起こったほどだ。

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ヤクルトと阪神の“差”はどこで出た?