ビールのCMに出演した新垣結衣には「臆測報道」が…(C)朝日新聞社
ビールのCMに出演した新垣結衣には「臆測報道」が…(C)朝日新聞社

 芸能評論家の三杉武氏も、昨今の芸能人の交際事情についてこう語る。

「1980年代などひと昔前の芸能界では、所属事務所に交際や結婚を反対された女性タレントが、計画的に妊娠することで反対を押し切って相手とゴールインするケースもありました。こうした場合、事務所も芸能メディアも『妊娠』を強調せざるをえない状況があったのです。近年はSNSの発達で芸能人の私生活を取り巻く環境もシビアになり、芸能人が周囲の目を気にして繁華街などで派手に遊べなくなりました。そのぶん、ホームパーティーや家飲みが増えて、芸能人も家の中で密会するようになった。それゆえ、突然の熱愛&結婚発表が増えており、その傾向はこれからも変わらないでしょう」

■妊娠によるCM違約金は「都市伝説」

 世の中の流れからみれば、芸能界でも「自由な妊娠」が認められるべきだが、現場ではどう考えているのか。

「トーク番組に関してはむしろ、結婚や妊娠はおめでたい話として起用しやすいので、歓迎ムードです。ただドラマとなると、本人の体調などもあり、最悪、流産なんてことになったらそれこそ大問題です。例えば2年半の隠密交際を経てEXILEのTAKAHIROさんと結婚した武井咲さんの場合、事務所が若い女性タレントの恋愛を禁止していたので、結婚と妊娠を突然発表する以外、方法はなかったと聞いています。当時、出演予定だったドラマの撮影がなくなり、無期限延期になったのですが、事務所は関係者への謝罪で大変でしたし、制作スタッフの一部からは不満の声も聞かれました。ただ、やっぱり妊娠に関しては女性にかかる負担が大きいうえ、男性にも“責任”があるわけです。今ではもう、演者の妊娠が発覚しても、撮影現場で『なんだよ、困ったな』という空気にならぬよう、みんな心がけています」(民放バラエティー制作スタッフ)

 CM業界ではどうか。前出の武井咲の場合、妊娠・結婚によるCMの違約金は10億円になると一部メディアが報じた(のちに日本エンターテイナーライツ協会が否定)。さらに武井の事務所がクライアントにおわび行脚をしたとする記事も掲載された。

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「違約金を取ったら企業イメージも悪くなる」