廣津留すみれさん(撮影/戸嶋日菜乃)
廣津留すみれさん(撮影/戸嶋日菜乃)

 塾ナシ、留学経験ナシで大分の公立高校から米・ハーバード大学に現役合格した日本人女性がいる。バイオリニストの廣津留すみれさん(28)は、高校卒業後アメリカにわたり、ハーバード大を首席で卒業。さらに音楽の名門・ジュリアード音楽院に進んだ。日本から海外大に進学するために必要なものとはなにか。また海外大での生活はどのようなものなのか。話を聞いた。

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――ハーバード大学を目指そうと思ったきっかけは何ですか。

 高校2年の春、バイオリンの国際音楽コンクールに優勝して獲得した全米演奏ツアー中に、軽い気持ちでハーバード大のキャンパスツアーに立ち寄りました。そもそもハーバードって本当にあるんだ、から始まりましたね。現役生が学内をガイドしてくれましたが、演劇でもスポーツでも、課外活動に学業と同じくらいの熱量を注いでいると聞いて、学業とバイオリンの両立が目標だった私は、ここに入ったらめちゃくちゃ幸せだろうなと思いました。

■「え?あのハーバードですか?」

――すぐにハーバードを受験しようと決めたのですか?

 大分の普通の高校生からしたら、ハーバードなんてありえるのかなと思っていました。でも調べてみるとアメリカに行かずとも受験ができるのが分かり、目指してみようかなと。家族は、いいんじゃない?という反応でしたが、先生はもうびっくりして、三者面談では「え?あのハーバードですか?」と。通っていたのは進学校でしたが、あまりにも前例がない話。地方の公立高校では、海外に進学する人すらいませんでした。

―――地方からハーバードを目指すのに、苦労はありませんでしたか。 

 ハーバード大学入学後に、首都圏の有名高校出身の仲間に受験時の話を聞いてはじめて、地方にいたことのハンデがあったことを実感しましたね。首都圏だと受験のための情報が日常的に手に入るし、先輩の経験の積み重ねがあって、全く環境が違うなと。私の場合は、先生に書いてもらう推薦状も、「推薦状とはどういうものか」というところから説明しないといけなかったので。でも、情報がなかったのが逆に良かった部分もあるかもしれません。海外への恐怖や先入観など、情報の多さに迷うこともありませんでしたから。

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受験に必要な英単語は2万語