廣津留すみれさん(撮影/戸嶋日菜乃)
廣津留すみれさん(撮影/戸嶋日菜乃)

――受験勉強では何に力を入れましたか?

 とにかく英単語を覚えました。受験には2万語レベルの単語数が必要なので、SAT(アメリカの大学進学適性試験)の過去問集に載っていた単語リストを常に持ち歩いて、5分単位のすきま時間を使って勉強しました。アメリカの過去問集だと意味も英語で書いてある。翻訳しにくいものも出てくるので、基本は英語で理解してときどき日本語を書き加える方式にしていました。 

 試験には小論文もあるのですが、これで完成というゴールがないし、英語で書くので、それはもう修正の繰り返しでしたね。ハーバード生の論文集をアメリカから取り寄せて読んでもみましたが、“多くの国にルーツを持つ自分のアイデンティティー”というような内容が多く、私には参考にならず、トピックを選ぶのも大変でした。結局、自分の存在をアピールすることに徹しました。

■終始「雑談」のようだった面接試験

――合格するためには何が必要だと思いますか。

 受験には面接試験もありまして、私の時はスカイプで受けました。かたくるしい雰囲気ではなく、終始雑談のような感じで、「人間力」が見られているのかなと思いました。

 高校まで勉強だけやってきた、という人は多分難しいと思うんですよ。勉強以外で何にパッションがあるの? みたいなところがすごく重要視されるので。ゲームでも昆虫採集でも、何か熱中したものが存在するといいと思います。

――入学後、国籍の違う相手との共同生活で、友達との関係はどう築きましたか?

 ハーバードの学生はほぼ全員寮生活で、1年生は食事も同じ食堂です。入学直前にはオリエンテーションがあり、学校側が率先して友達づくりの場を設けてくれました。孤独になる暇がないというか。そもそも勉強するときはひとりなので、自分だけの時間がほしいとも思いませんでした。私は15人ほどの寮で、フランス系とインド系のアメリカ人の学生との3人部屋でしたが、ドアは開けっ放しで自由に行き来できました。タブーな話題も全然なくて、いい意味でカルチャーショックでしたね。政治の話も宗教の話も話せるのは発見でした。地雷を踏んだらどうしようと身構えていましたが、なんでもオープンに話したほうがみんなにとってハッピーじゃないかって考える人ばかり。

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「挙手に慣れていない日本人」に先生が手厚くケア