DeNA監督時代の中畑清氏 (c)朝日新聞社
DeNA監督時代の中畑清氏 (c)朝日新聞社

 元DeNA監督・中畑清氏はプロ野球界を明るく照らしてくれる男だ。再び現場で見たいという声はメディア、ファンから後を絶たない。社会情勢同様どこか閉塞感漂う球界だが、今こそ周囲を明るくしてくれるキヨシの出番ではないだろうか。

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 この時期になると次のシーズンの監督人事の噂が出始める。中畑氏の現場復帰を求める声は多く、球団問わず毎年のように候補として名前が挙がる。だが、DeNA監督時代の成績は決して芳しいものではなかった。11年オフに親会社がTBSからDeNAへと変更するとともに監督に就任。在任4年間で5位2回、6位2回とAクラス争いに絡むことすらできなかった。しかし、在任当時の功績は単純な結果だけで測れるものではない。

「98年の日本一以来、横浜は長期の暗黒時代に突入していた。球場には閑古鳥が鳴き、前の親会社だったTBSは諦めムードだったが、DeNAはチームの抜本的改革に着手した。中畑監督がアイコンになり明るいイメージを植え付け、ファンが見たい球団に変貌を遂げた。勝っても負けても元気で前向き、諦めない姿勢を浸透させた功績は高く評価されています」(横浜担当記者)

 チームの雰囲気が変わり別球団のように生まれ変わった。観客動員は4年間で165%アップし、球場が満員になる「大入り」回数も1年目は4回だったのが、15回、23回、43回と激増した。加えて戦う集団になったチームは、中畑前監督を引き継いだアレックス・ラミレス監督就任とともに結果を出し始めた。16年からの5年間でAクラス3度。17年にはソフトバンクに敗れはしたものの、リーグ3位からCSを勝ち抜き、日本シリーズ進出を果たすまでになった。

「ラミレス監督の手腕もあるが中畑氏の育てた選手がチームの中心として結果を出した。筒香嘉智(現パイレーツ)、梶谷隆幸(現巨人)などを使い続けた。山崎康晃を先発ではなくクローザーとして起用したのも大きい。少々のミスには目をつむり多くの若手を積極的に起用して経験を積ませた。チーム力が上がったとともに、生え抜き選手が増えたことでファンも応援したくなるチームを作り上げた」(在京球団編成担当)

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結果は残せずも…