高校時代に史上最多の通算111本塁打を放ち、「和製ベーブルース」と呼ばれた清宮も早実の時の輝きは消えている。プロ4年目の今季は1軍出場がなく、3日に全日程が終了したファームで106試合出場、打率.199、19本塁打、60打点。西武の大卒ルーキー・渡部健人と共に本塁打王を獲得したが、満足できる数字ではないことは本人が一番痛感しているだろう。リーグ最多の113三振で確実性があまりにも低い。ファームで打率2割を切る数字では1軍昇格は厳しい。

  アマチュア時代から清宮を見てきたスポーツ紙記者は「技術以前にプロで戦う肉体ではない」と指摘する。

 「プロに入団して度重なる故障で下半身強化ができていなかったと思います。上半身の力が強すぎるので下半身でタメが作れず、変化球に泳がされて内角の速い球にも対応できない。高校時代から凄い打者でしたが、111本塁打という数字で過大評価された部分もあると思います。実際に高校時代は一線級と呼ばれる投手からそんなに打っていませんでした。能力があることは間違いないですが、実戦の前にもう一度体を鍛え直してフォームから固め直した方が良いと思います」

  今秋のドラフトでは清宮と同学年の即戦力たちがプロの門を叩く。清宮に残された時間はそう多くない。斎藤の引退で何を思うか。プロの世界で活躍することが、大好きな先輩に対する一番の恩返しだ。(牧忠則)