やはり「NHKアナウンサー」というと、正直「お堅い」イメージがあるのだが、この番組のロケでは皆、それぞれ探偵としての個性を出そうと、時に前のめりに、時に失敗しつつも、一生懸命に歴史の謎を解き明かそうとする姿は、ごめん、やっぱり「チャーミング」という言葉が一番しっくりくるし、報道番組ではあまり見せることがないであろうその姿は、間違いなくこの番組の大きな見どころの1つと言っていい。

 だってね。近田雄一氏は、私服でいると少し精彩を欠いた幸が薄めの青年にしか見えないし、青井実氏は土日のニュース7のキャスターと同一人物とは思えないようなはっちゃけぶりだし、森田洋平氏はドアノブより腰が低いし、石橋亜紗氏は普通っぽいにも程があるくらい普通だし(←すごく褒めてる)、わたし、所長やってて、彼ら探偵の調査ロケを見るのが楽しみで仕方ないのよ。

 総じてウチの探偵たち全員に言えるのは、皆、気取りがなく、自然体。同時にアナウンサーとしての矜持や職人気質のこだわりも当然のようにあって、皆、とても言葉を大切にしている。

 とまあ、近田さんに至っては「少し精彩を欠いた幸が薄めの青年」とまで書いてしまったので多少フォローコメントを書いたわけだが、いやでも事実、僕ら俳優とは違う意味で言葉を大切にし、トーンやニュアンスにも細やかに気を配ってるのが一緒に収録をしていてよく分かる。

 そして忘れてはならない、我らが副所長、渡邊佐和子。もはや実質所長ではないかというくらいの存在感。まさにこの探偵社の司令塔。そんな彼女が、番組全体の手綱をしっかりと握ってくれている。

 さらに当番組の良心、探偵社顧問の河合敦先生。物腰柔らかく、弁舌爽やか。彼の解説は誰の耳にも優しく染み入る。そして、なんと、ななななんと、僕より4つ歳上。なんであんなにお肌ツヤツヤなんだ。この番組を毎週見ている息子は、父が河合先生より歳下という事実をいまだに信じていない。ちなみに俺も信じていない。

 さらにさらに、この番組でどうしても外せないのは、毎回毎回、地道な努力や調査で、歴史の新たな可能性を炙り出していくスタッフたち。皆、歴史が好きで好きでたまらなく、熱を持ち、心血を注いでいるのがよく分かる。

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わたた。そんなつもりはなかったのに…