年をとるごとに増えるシワ。わかっていても、この老化現象は遅らせたいものです。そもそも、なぜ年をとるとシワができるのか? そのメカニズムと予防法について、近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師が解説します。

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※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 年齢を重ねるごとに体は老化していきます。私も40歳を過ぎてから急激に白髪が増え、体力の衰えを感じるようになりました。そして顔には小じわが増えました。

 老化現象はある程度しょうがないとはいえ、可能であるならば遅らせたいものです。今回はシワができるメカニズムを解説し、その予防法について考えたいと思います。

 一般的にシワと呼ばれるものは、皮膚のキメの乱れとたるみを含めたものです。キメとは肌の小さな凹凸で、若い人の肌はキメが細かいのが特徴です。

 キメの乱れの原因に乾燥があげられます。

 皮膚の水分保持量は年齢とともに減少し、カサカサ肌に変わります。このカサカサは肌のキメにも影響しますが、皮膚病も引き起こします。代表的なものが皮脂欠乏性湿疹です。皮膚の乾燥によりかゆみが誘導され、かきむしるせいで湿疹が悪化します。まずはこまめな保湿が大切です。

 次に紫外線もシワの原因となります。

 日常生活で浴びる紫外線にはUVAとUVBがありますが、ともにシワの原因となります。論文に報告された有名な症例で、顔半分だけシワシワとなったトラック運転手の写真があります。ガラス越しに紫外線を浴び続け、顔の半分だけ皮膚老化が起きてしまいました。窓ガラスはUVBをカットしますが、UVAは通します。ガラス越しでも紫外線には気をつけ、室内ではUVAカットのカーテンなどを使用するのが良いでしょう。

 たるみに関しては皮膚の深い部分、つまり真皮に原因があります。肌の張りは膠原線維と呼ばれるコラーゲンと弾性線維と呼ばれるエラスチンによって主に保たれています。このコラーゲン線維とエラスチン線維が年齢とともにダメージを受け肌の弾力が失われていきます。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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