昨オフにFAで獲得した井納翔一もしかりだという。

「菅野智之がメジャー移籍する事態を想定して獲得しましたが、DeNAで先発ローテーションに入っていない投手を獲得する必要があったのか。『活躍してくれれば儲けもの』という考え方もありますが、FA戦略としては疑問が残ります」(同前)

 巨人は常勝を義務付けられているだけに、大型補強に乗り出すのは理解できる見方もある。ただ、昨年まで4年連続日本一に輝いたソフトバンクは主力選手の大半が生え抜きだ。育成枠で入団し、球界を代表する選手に飛躍した千賀滉大、甲斐拓也をはじめ、実戦を重ねて失敗も繰り返しながら成長したことでチームに不可欠な主力になっている。

「ソフトバンクは若返りがうまくいっていないという課題はありますが、それでも長い期間勝てているのは生え抜きを中心にしたチーム作りをしているからです。巨人は原監督が名将ですが、監督が変わったらチームの強さが維持されるかというとそうではない。FAで獲得した選手は活躍する期間が長くて4年ぐらい。生え抜きの選手たちは独り立ちするまで時間がかかるかもしれませんが、主力になれば活躍する期間が長いし、黄金時代を築く。今の巨人のやり方だと常勝軍団を作るのは厳しいと思います」(在京球団のスカウト)

 ドラフト戦略と外部からの戦力補強はチームを強化する両輪だ。ただ、他球団からの戦力補強に頼ってしまうと、屋台骨が不安定なチームになる。逆転優勝を狙う巨人。中田、丸、陽は意地を見せられるか。
(江口顕吾)