前半戦に首位を快走していた阪神の勢いが完全に消えてしまった。下位に沈む広島に敵地・マツダスタジアムで手痛い同一カード3連敗。後半戦に入り7勝8敗と黒星が先行し、首位から3位に転落した。

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「4番で我慢強く使っていた大山悠輔をスタメンから外し、広島との3戦目には6試合連続無安打と絶不調の佐藤輝明も先発から外しましたが、思うように機能しない。5番に糸原健斗を抜擢しましたが迫力不足は否めず、打線の組み方にも疑問が残りました。ただ、長いシーズンで主力が次々に不調になる時期があるし、仕方ない部分もある。気になるのはベンチの雰囲気です。矢野燿大監督は点が入ると満面の笑みでガッツポーズをして、勝つと選手以上に喜びを露わにしますが、負けが込むと悲壮感が漂う表情を浮かべて空気が一気に重くなる。喜怒哀楽を前面に出すのは決して悪いことではないですが、勝っても厳しい視線で課題を指摘する巨人の原辰徳監督、勝っても負けても無表情を貫く落合博満さん(元中日監督)に比べると、頼りなく感じてしまう」(スポーツ紙デスク)

 矢野監督は選手と共に戦っているように感じる。もちろん、指揮官として俯瞰した目で戦術を組み立てている側面はあるが、選手の一挙手一投足に感情移入する。7月12日のDeNA戦(甲子園)では3点ビハインドの9回2死一塁と敗色濃厚の展開から5連打で4得点の大逆転勝ち。劇的な逆転勝ちで試合後にマイクを向けられた矢野監督は「感動しています」と話した後、目を潤ませた。

「苦しかったですけどね。本当に一人一人が……」と話すと、言葉を詰まらせて「ちょっと待ってください」沈黙。「全員の気持ちだと思います」と言葉を振り絞って選手を称えた。

 敗戦後、選手を名指しで批判することはほとんどなく、選手を起用した自身の責任という思いを貫く。それゆえに選手からの人望は厚い。ただチームを司る指揮官としてその采配には批判の声が少なくない。

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原監督らと比べると非情さが…