極度の貧血だったという大橋悠依選手(C)朝日新聞社
極度の貧血だったという大橋悠依選手(C)朝日新聞社

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

 400メートルに続き200メートル個人メドレーでも金メダルに輝き、競泳女子史上初の2冠となった競泳・大橋悠依選手。

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 子どもの頃は病弱で、東洋大進学後は「体が重い」タイムが伸びず、日本選手権は予選で40人中最下位。体調不良の原因が分からないまま、競技を辞めることも考えた大学2年生の帰省中に地元の病院でたまたま血液検査し、極度の貧血と判明したという。

 AERAdot.連載コラム「医見手帖」でおなじみの山本佳奈医師に、女性に多い原因不明の体調不良の克服法を教えてもらった。

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 卓球、柔道、水泳、サーフィン、スケートボードなど日本人選手のメダルラッシュが続いている東京オリンピック。一年延期になり、開催されるかどうか分からない中で、オリンピックの舞台で闘うために努力を重ねてこられた選手の皆様の勇姿に、感動をもらう毎日です。
 
 さて、女子400メートル個人メドレーに続き、女子200メートル個人メドレーも金メダルを獲得した、競泳の大橋悠依選手。実は、体が重く、タイムも伸びず、競泳を辞めることすら考えた大学2年生の秋に「重度の貧血」であることが判明しました。それから時間をかけて貧血を克服し、大学4年生の時に日本新記録を樹立、今回の五輪での金メダルの獲得に至ったと言います。

 大橋選手も悩まされた「貧血」ですが、貧血とは、鉄の不足によって全身の隅々まで酸素を運ぶことができなくなっている状態です。言い換えると、酸素が足りない酸欠状態で、必死にトレーニングや運動をしている状態なのです。

 アスリートはもちろん、スポーツをする人は、男女を問わず貧血になりやすいことが指摘されています。内科外来でも、陸上やバスケットボール、サッカーなどの部活動をやっている中高生や趣味でマラソンをやっている成人の「貧血」をよくみかけます。タイムが伸びない、成績が上がらない、身体が動かない、集中できない、などいろんな症状を訴えて受診されます。定期的に採血を行い、必要な鉄の量や練習量の調整を行いながら、貧血予防を行っています。

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