日本ハム・上沢直之(C)朝日新聞社
日本ハム・上沢直之(C)朝日新聞社

 東京五輪に出場する侍ジャパンで投手陣のエースとして期待されるのがオリックス・山本由伸だ。巨人・菅野智之はコンディションが上がらず出場辞退、ソフトバンク・千賀滉大は4月に左足首の靱帯を痛めて故障明けにも関わらず「サプライズ選出」されたが、7月6日のロッテ戦で3回途中9安打10失点KOと本来の状態には程遠い。山本が先発、抑えでフル回転する可能性は十分にある。

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 メジャーのあるスカウトは「日本はクオリティーの高い投手がそろっているが、山本が断トツで№1。今メジャーに来ても先発ローテーションで2ケタ勝利を挙げられる。まだプロ5年目の22歳だからしばらく日本でプレーするだろうけど、ポスティングシステムでの移籍が実現したら争奪戦になるだろう」と絶賛する。

 最速158キロの直球に加え、カットボール、スライダー、フォーク、カーブ、ツーシームと変化球も多彩。19年のプレミア12では山本がブルペンで投げている映像が話題になった。捕手役を務めたロッテ・田村龍弘が「カットボール、エグい」、「どえらい、山本」と称賛。ツーシームについても、「左投手のカットボールみたい」と衝撃を受けていた。投球を見守っていた稲葉篤紀監督も「唸っとる」、ソフトバンクの甲斐拓也も「真スラ、魔球やな」と驚きを隠せなかった。

「山本が先発と聞くだけで、『今日は厳しいな』と思わせるぐらいの投手に進化している。点を取る以前に安打を打つことさえも難しい。日本ハムで投げていた時のダルビッシュ有(パドレス)みたいな試合を支配する雰囲気がありますね。正直、状態が良い時は対策の打ちようがない」(他球団スコアラー)

 18年に32ホールドでセットアッパーとして頭角を現して先発転向。2ケタ勝利が一度もないのは意外だが、19年は8勝6敗、防御率1.95で最優秀防御率のタイトルを獲得し、昨年は8勝4敗、防御率2.20と抜群の安定感を誇る。今季も前半戦でいずれもリーグトップの9勝(5敗)、防御率1.82と首位を快走するチームのエースとして稼働している。投球内容も圧巻だ。4月1日のソフトバンク戦で2安打13奪三振の完封勝利を飾る。6月11日の広島戦では7回まで走者を1人も出さない完全投球。8回に連打を浴びて大記録達成はならなかったが、先発全員から自己最多を更新する15奪三振で無失点に抑えた。

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