「国立競技場内で起きた強制性交等の容疑で逮捕者が出たことは承知しております。容疑者は、組織委や組織委の契約関係者ではありませんが、大会の一部業務を請けているコントラクターであり、このような東京2020大会への信頼を損なう事案は、極めて遺憾です。逮捕者の所属元に対しては、現下の厳しい状況の中で大会を開催することを踏まえ、職員に高い倫理観をもって真摯に職務にあたっていただくよう、強く求めてまいります」

 こうしたコメントを聞いても、前出の女性スタッフはもはや組織委の対応には期待できないという。

「こんなことが起きてしまうと、安心安全はゼロです。『安心安全』という言葉を使えば、安全性が担保されているような気になってしまうのが不思議。言葉だけ気をつけると言っても期待はできない。上が言っても現場まで浸透せず、今回もその場限り気をつけるだけなのでは」

 開会式を目前にして起きた、凄惨な事件。五輪をめぐっては公式エンブレム盗作疑惑にはじまり、開会式の楽曲を担当するミュージシャンのいじめ問題まで、予想外の不祥事も次々と勃発している。もう二度と“事件”が起こらないことを願いたい。
(取材・文=AERA dot.編集部・飯塚大和)