とにかく。

 件のツイートを戒めとし、それ以降、酔った状態ではツイートしない(馬鹿みたいな意味不明ツイートはするかもしれないが)ように厳に自分に言い聞かせております。(と、この原稿を書いた7月14日の夜、酔って呟いてしまった。どうしても遅い時間に番宣したかったの。ごめんなさい)

 ただ、これは正直に言いますと、僕、ずっと以前から、「二朗さん、演技が上手ですね」と言われることに、かなりの違和感がありました。プロ野球選手に「野球、上手ですね」と言うことがどういう意味を持つかと感覚的には近い気がします。

 無論、俳優というのは、30年その道でやってきたベテラン俳優が、子供や動物に「喰われる」ことが往々にしてある世界です。

 さらに演技経験のない人が、素晴らしい空気を醸し出すことも本当にたくさんあります。現に、僕が監督した映画「はるヲうるひと」では、山田孝之や仲里依紗、坂井真紀という、僕が心から凄いと思える歴戦の俳優陣を配する一方、重要な女郎役を、経験がなく、映像作品はほぼ初めての駒林怜さんという21才の女の子をオーディションで選びました。

 そして、これは避けて通れぬことだと思いますが、残念ながらプロといえるような基準に達していないにも関わらず配役されることも現実的にはあるようです。ただ、これも、行政的な事情(も、もちろんあるでしょうが)、それだけでなく、俳優というものが、野球選手のように成績が数値化されない、芸人さんのように返ってくる笑いの多寡が分かりづらい、未経験の人が爆発的にいい仕事をする可能性がある、ということも理由としてあるような気がしています。そしてこれは言うまでもないことですが、作り手たちは、良い作品を皆様に届けるため、日々、本当に心血を注いでいます。当たり前の、本当に当たり前のことではありますが。

 件のツイートのあと、僕は「演技派俳優」という表現が使われるのは、「僕ら側にこそ責任がある」とツイートしました。そして「演技派俳優」、もちろん誉め言葉として使われているのは百も承知の、この「演技派俳優」という言葉は、「演技できない俳優もいるぞ」という痛烈な皮肉の意味も込められてる、込められてなくとも、込められてると、もう、こうなったら自分の中の被害妄想的な部分をフルに活用し、自分のために、俳優のために、皮肉なんだとしっかりと受け止め、さらに切磋琢磨しなければと自分に言い聞かせています。

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