同年入社の中ですら上下関係ができるのですから、年次が上の先輩の言うことは絶対です。直接反論をしようものならこてんぱんに攻撃されるので、言いたいことは言えません。かといって黙っていたらますます攻撃がエスカレートしていきます。

■ステイ先のホテルで、5時間の反省会

 つらかったのは、ステイ先ホテルの先輩の部屋に召集される反省会です。滞在時の自由な時間に、フライトでの振舞いを厳しく指摘され、反省させられるのです。そして次回のフライトの目標を述べさせられ、解放されると思いきや、続けて業務知識の確認です。

 当時のエコノミークラスはお酒や映画が有料で、機内で使用できる通貨も15種類くらいありました。ヨーロッパの通貨がユーロに統一される今から30年以上前のこと、フランスフラン、イタリアリラ、ドイツマルクなど国ごとに通貨が異なるので種類も多く、換算レートも一か月単位で変わります。だからその都度日本円とUSドルに換算しなければいけません。

「ビールはフランスフランでいくら?」とお客様に聞かれたら、即座にお応えしなければいけません。それを通貨ごとに表にして換算表を作るのですが、そこに先輩の厳しいチェックが入ります。ビールをフランスフランでいくら?はまだ可愛い質問です。

「今、2フラン残ってるんだけど、これで免税品を買いたいんです。足りない分はUSドルで支払います。おつりは日本円でお願いします」なんて言われると、たちまちパニックです。それを即答できないと、先輩に叱られるのです。ある種の拷問のような勉強会が長いときだと4~5時間、延々と続きます。

 今そのようなことをやってしまうと時間外労働で、逆に訴えられてしまいますが、当時は当たり前のように行われていました。

■ハンドバックにジュースが…

 勉強会はまだ仕事の役には立ったのですが、質の悪いいじめもありました。

 例えば、機内サービスで着用するエプロンを隠す、さらに悪質なものはハンドバッグにジュースを入れる……など目を疑うようないじめ行為です。

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理不尽ないじめへの対処法とは?