ひろゆき氏(C)朝日新聞社
ひろゆき氏(C)朝日新聞社

 7月6日深夜に始まったテレビ東京の新番組『乃木坂に、越されました ~AKB48、色々あってテレ東からの大逆襲!~』で、番組MCを務めるのが「ひろゆき」こと西村博之氏であることが明かされ、話題を呼んでいる。すでに放送済みの初回では彼の登場はなかったが、今後はリモートで出演する予定だという。

【写真】癖が強く「クズ芸人」と呼ばれるのはこの人

 最近、テレビ番組などでひろゆきの姿を目にする機会が増えてきた。今年3月に終了した『グッとラック!』(TBS)ではレギュラーコメンテーターを務めていたし、『ABEMA Prime』(AbemaTV)でも曜日MCを担当している。

 情報番組のコメンテーターとしての仕事だけでなく、「論破王」と言われるほどの卓越したディベート技術を生かして、バラエティ番組に顔を出すこともある。テレビの文化人枠ではいま最も勢いがあるタレントだと言っても過言ではない。

 彼は単に面白がられているだけでなく、若い世代から論客としてまっとうに支持も受けている。2021年3月にLINEリサーチが15~24歳の男女を対象に行った「いちばん信頼している/参考にしているインフルエンサー・有名人」のアンケート調査では、YouTuberのHIKAKINに次ぐ2位にランクインした。

 ウェブ業界では2ちゃんねるの創設者として古くから知られていて、どちらかと言うとうさん臭いイメージも強かったひろゆきが、今テレビの世界で引っ張りだこになっているのはなぜなのか。

 それは、感情よりも論理を重視する彼の姿勢が、今の時代に合っているからだ。議論をするときに論理的であることが求められるのは当たり前だと思う人がいるかもしれない。だが、これまでのテレビではその当たり前が通用しなかった。

 一昔前のテレビで流行っていた討論スタイルを象徴しているのが『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)である。この番組の初期には、数多くの個性豊かな論客が出演して、徹夜で討論を繰り広げていた。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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朝生の討論スタイルは今の時代に合っていない