さらに言うと、芸能事務所に所属しているタレントや、研究機関や教育機関に所属している教授や研究者などと違って、ひろゆきにはタブーが存在しない。「言ってはいけないこと」がないので、忖度なしの本音を堂々と発信することができる。

 初期の『朝生』の討論スタイルがボコボコに殴り合う格闘技だとすれば、ひろゆきのやり方は合気道である。相手の力を利用してスッと投げ飛ばす動きの鮮やかさに若者たちが魅了されるのも無理はない。

 求められる議論の「型」が時代によって変わるからこそ、ひろゆきは新時代のカリスマ論客になることができたのだ。(お笑い評論家・ラリー遠田)

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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