そんな中で1つ“オススメ”を挙げさせてもらうとすれば、バルセロナやスペイン代表でルイス・エンリケの右腕を務めたロベルト・モレノが新たに監督を務めるグラナダ。メディアと非常に近い関係で知られる彼は、以前にスペイン誌『パネンカ』で「自分がすべきことはどう負けることを望むかを選択し、その選択を守り切ること。すべてを決めるのは結果だが、結果は自分のスタイルに基づいて生じる」と確固たる哲学が必要であることを説き、ポゼッションについて以下のように語っている。

「まず、攻撃するのは守備をするよりも難しい。ボールを持っているときには、持っていないときよりも多くの決断を下さなければならない。以前までの攻撃をする喜びは、守備的な返答を得てしまった」

「ポゼッションを手段ではなく目的としてしまってはいけない。ボールを持つのは良いことだが、ゴール前最後の数メートル、スペースがなくて相手が多いエリアで違いを生み出さなければならない。スペースを突くのか、クロスを送るのか、エリア外からシュートを放つか、1対1の状況を生み出すのか」

 これらの発言を見るに、モレノが攻撃陣に最も求めるのは「狭いエリアでの判断力」だ。時間もスペースも与えられない場所でいかにチームと連動しながら優位性を作り、素早く的確な判断を下す選手を好んでいることが伺える。そういった意味では、久保が高く評価されてきたものと合致する。そしてリオネル・メッシを指導してきた彼ならば、似たようなエリアから同じ足で同じく中央を向いてプレーし、自らのドリブルから決定機を演出する久保の活かし方も心得ているだろう。

 2020-21シーズンはリーグ戦9位に終わったとはいえ、初挑戦のヨーロッパリーグでベスト8に進出。上位進出を狙える環境もある。確かにオリンピックによって新チームの発足に関われないのはハンデとなるが、それはどこへ行っても同じ。チームとしても不確実な要素も多いが、次世代を担う青年指揮官の下で1シーズンを過ごすのは、今後へ大きな意味を持つのではないだろうか。

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まずは東京五輪での活躍が重要に