さらには、カフェのポイントシステムのように「1回やったらスタンプを押せる」というカードをつくって、10個スタンプがたまるごとに、自分へのご褒美として「報酬」を決めておくと、より効果的でしょう。

 ここで挫折しないために重要なのは、どれくらいステッパーを踏んだのかという「時間」や「ステップ数」を記録したりしないことだと思います。

 毎日の踏んだ数を比較してしまうと、「今日は少ししかやっていない」「先週のほうががんばっていた」と思ったときに、モチベーションがするすると下がってしまうからです。

 「ほんの少し進める」ルールの本質は、どれくらいたくさんできるようにするかではなく、継続するための習慣をつくる、という点にあると思っています。

 ですから、とことん自分に甘く、1日1分でもステッパーを踏んだらスタンプを押すという、ゆるい姿勢をもつことが大切です。

■挫折しやすいのは、がんばれない人ではなくがんばり屋

 過去に、とある運動選手が、「途中で挫折しやすい人というのはがんばれないのではなく、完璧を求めすぎるがんばり屋が多い」と言っていました。

 最初の、0を1にする段階からすでに意気込んでいるため、その後でちょっとつまずくと、気持ちが折れてやめてしまうのです。

 最初は軽い気持ちで、ほんのちょっとだけ進めて終わる、がんばろうとしない人のほうが、結果として習慣をつくりやすく、長く続けられるわけです。

 ちなみに私は、息子の宿題に関して、「全部やらなくても、少しでもやればOK」というスタンスでいます(もちろん全部やるに越したことはありませんが)。

 今は小学2年生なので、無理に「やらなくては」という気持ちを起こさせ、完璧にやらせて勉強嫌いにさせてしまうよりも、ほんのちょっとでもいいので毎日やるということに重点をおき、習慣をつくれるよう誘導するのです。

 何かを始めるときに、わざわざ気合を入れたり、モチベーションを高めたりする必要なんてないと、自分に言い聞かせておきましょう。

 結局は、少しずつでもコツコツ続けられる人間が、一番強くなれるのですから。

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杉山奈津子

杉山奈津子

杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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