現在も休養中の小池百合子都知事(C)朝日新聞社
現在も休養中の小池百合子都知事(C)朝日新聞社
菅義偉首相と側近の和泉首相補佐官(C)朝日新聞社
菅義偉首相と側近の和泉首相補佐官(C)朝日新聞社

 東京五輪・パラリンピックの開催に向けて、開催地の東京はワクチン接種を加速させたいところだが、ここにきて政府のワクチン供給が追い付かない事態が生じている。東京都へのワクチン供給はストップされ、現場は大混乱。その上、小池百合子都知事が過労で入院し、収拾がつかなくなっている。麻生太郎財務相は25日、東京都議選の自民党候補の応援演説で、静養中の小池知事について「自分でまいた種でしょうが」と突き放した。ワクチンには政治的な思惑が絡んでいるというが、いったい何が起こっているのか。

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「自治体の大規模接種についてはいったん新規の受付を休止させていただいて、職域接種については金曜日(25日)の午後5時をもって申請を一時休止させていただきたい」

 河野太郎規制改革担当大臣は、23日夜、記者会見でこう述べた。自治体の大規模接種と職域接種については、モデルナ製のワクチンを使っている。河野大臣は会見で「相当な勢いで申請をいただいている」と述べ、職域接種と大学での接種の合計は3300万回、自治体の大規模接種が1200万回を超え、上限に近くになっているとして、申請の受付を一時休止した。

 モデルナ製のワクチンは、9月末までに5千万回分が供給される契約になっている。25日の会見で河野大臣は自治体の大規模接種については別の1200万回分の申請が承認されず、保留になっていることを明らかにした。単純計算で700万人分のワクチンが足りない計算だ。

 これに対して厚労省関係者は「あたかも想定外だったかのような白々しく釈明していますが、実態はそうではありません」と突き放す。どういうことか。

「菅義偉首相が掲げた『1日100万回』という接種目標にこだわった勇み足ですよ。ワクチン接種には配送や会場運営などロジ面を含めて多方面に目配りをする必要がある。しかし、河野大臣は丁寧な調整が苦手なタイプ。自治体との調整など実務を担う厚労省とは衝突ばかりで連携できていない」(政府関係者)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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