移籍先のロッテではいい意味での荒々さを取り戻し、チームのCS進出に貢献。救世主的な存在となり、わずか数カ月の在籍ながらファンに大きなインパクトを残した。オフにはロッテが4年10億超の契約で引き留めを目指すとの報道もあったが、海外FA権を行使して、メジャー挑戦を決断。ベースの年俸が120万ドル(約1億2000万円)の2年契約をレッドソックスと結んだ。

「昨年の今頃を思うと信じられない。巨人時代はチーム内での信頼が得られていなかった。練習なども前向きには見えず口数も減った。周囲を寄せ付けない雰囲気でファームでは浮いていた。最近の映像で伝わってくるような明るい様子なんてなかった。気分屋のところがあるからメンタルの部分が大きかったのだろう。乗っている時はすごい投球をするから、このまま行って欲しい」(巨人担当記者)

「メジャー思考は強くなかった。保守的というか安定思考。巨人入団が決定した時は心から喜んでいたしホッとしてた。巨人のドラ1なら生活は一生安泰ですから。結果が出なくなり周囲からも批判され不安が大きかったんでしょう。周囲にあんな態度をする奴ではなかった。ロッテ移籍後くらいから吹っ切れたのでしょうね。ヒゲや長髪を見て笑っちゃいました。覚醒するかもとも思いましたよ」(大学時代のチームメイト)

 先輩・上原のYouTubeチャンネルにゲスト出演した際には、「『なんで俺がこんなところにいるんだ』と思ったら終わると思っていた」と三軍時代の苦しい胸の内を吐露していた澤村。飛び抜けたものがあってもメンタルが伴わなければ、パフォーマンスには生かせない。150キロを超えるストレートと140キロ台のスプリット。持っているものはメジャー水準にあったからこそ、環境が変化したことによって再び結果を残すことができているのだろう。

「メジャーで最も速いスプリットと評価されているのが嬉しいみたいです。承認欲求ではないが褒められて伸びるタイプ。ただし勝負はここから先です。ボストンはニューヨークなどと並び、ファンやメディアがうるさい街。優勝を狙える今年、打たれた時に逆風が吹くことも想像できる。その時に巨人時代の澤村に戻らないか? 米国仕様のまま乗り越えて行けるかが大事になる」(スポーツ新聞MLB担当記者)

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チームを世界一に導けるか