事件直後、現場から稲田さんの遺体を運搬する警察車両(撮影・今西憲之)
事件直後、現場から稲田さんの遺体を運搬する警察車両(撮影・今西憲之)
殺害されたカラオケ店店主の稲田真優子さん・享年25歳(知人提供)
殺害されたカラオケ店店主の稲田真優子さん・享年25歳(知人提供)
稲田さんが経営するカラオケパブが入った雑居ビル(撮影・今西憲之)
稲田さんが経営するカラオケパブが入った雑居ビル(撮影・今西憲之)

 大阪のJR天満駅近くの「カラオケパブごまちゃん」経営者の稲田真優子さん(25)が殺害された事件で逮捕されたのは、「顔見知りの常連客」だった。

【写真】仏教に興味を持っていたという稲田真優子さん

 大阪府警は6月18日、兵庫県西宮市高須町の会社員、宮本浩志容疑者(56)を殺人の疑いで逮捕した。容疑者逮捕の一報を聞いた稲田さんの知人はこう驚きを隠せなかった。

「よかった。捕まったと聞いてホッとした。しかし、宮本という容疑者の名前を聞いて、あのオッサンか、とびっくりした」

 稲田さんは昨年夏までJR天満駅近くの別のカラオケ店Aに勤めていた。その当時の稲田さんのブログを見ると、<先週は七夕イベントにご来店いただいたーお客様、ありがとうございました。お陰さまで非常に盛り上がりました!>など仕事の充実ぶりがうかがえる。

 宮本容疑者は稲田さんがカラオケ店Aにいた当時からの常連客だったという。宮本容疑者は妻帯者で子供も2人いた。事件後、インターネット上で<ヒロシが怪しい>などという書き込みがあったという。先の知人は言う。

「稲田さんはストーカーのように頻繁に電話してきたり、絡んでくる男がいて困っていると愚痴っていた。その男はヒロシという名前だと聞いていた。『店でいきなりブチ切れて立ち上がり、怒り出したりする』『着信が1日に5回、10回とある』『本当にしつこい』と悩んでいた。怖いと話していたこともあった。それが宮本容疑者だったのでしょうね。稲田さんが自分の店をオープンすると、そちらにも宮本はくるようになった。コロナ禍で店を軌道に乗せなくてはなりません。来店を断ることができなかったのだと思います」

 稲田さんの店は、出入り口が1つだけだった。防犯カメラの映像から稲田さんが出勤した6月11日夕方以降の犯行と見られていた。その映像から、宮本容疑者が特定されたという。

「防犯カメラを徹底的に調べた結果、常連客だった宮本容疑者が浮上した。11日夕方以降、稲田さんの店に入った者が他にいないこともわかった。宮本容疑者は前の店からの常連客で稲田さんにつきまとうような行動をしていたことも周囲から情報提供でわかった。宮本容疑者が一方的に好意を寄せて犯行に及んだのではないか」(捜査関係者)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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