水野美紀 芸歴30年オーバーの私が我が子から学んだ「複雑な感情」 (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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水野美紀 芸歴30年オーバーの私が我が子から学んだ「複雑な感情」

連載「子育て女優の繁忙記「続・余力ゼロで生きてます」」

水野美紀さん

水野美紀さん

イラスト:唐橋充

イラスト:唐橋充

 42歳での電撃結婚。そして伝説の高齢出産から3年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。今回は、撮影現場での「緊張」への対処と恐怖、そして我が子から学んだ「複雑な感情」について。

【父・唐橋充の複雑な感情…イラストはこちら】

*  *  *
 7月期のドラマの撮影が始まった。撮影がスタートする時の緊張感は好きだ。

 初めましてのキャストやスタッフと挨拶し、セットに初めて足を踏み入れ、これからの3カ月弱、どんな空気感漂う現場で過ごすことになるのか。

 皆が皆を観察しながら探りながら撮影が進む。

「おっと、今回はかなり経験豊富なカメラマンさんだな」とか、「セットに美術さんのこだわりを感じるな」とか、「照明さんたのもしいな」とかとか、いちいち新鮮に感じながら初日は進んでいく。

 スタッフ側もきっとそうに違いない。

 初めて一緒になる俳優を見ながら、「へえ、そんな芝居するんだー」とか、「意外と肩幅あるんだー」とか、「セリフ噛むんだー」とかとか思ったりしているに違いない。

 あれ。

 怖い!! よくよく考えたら怖い!

 しかしもうキャリアも30年以上になった今では、どんなに頑張っても自分が3カ月間、完璧にやり切って終わることなど無理なのだと分かっている。

 ちょいちょいセリフ飛んだりするし、間違ったりするし。

 なので最初にダメなところを露呈しちゃった方が後がラクだと、そんな風に達観している。

 そうしていれば無駄に緊張しないで済む。

 無駄に緊張しなければ、無駄に緊張している時よりも落ち着いて芝居ができる。

 落ち着いて芝居ができれば、失敗も減る。

 ほんと言うと、セリフをうまく言う云々の失敗なんて些細なことで、感情をうまくコントロールできなかったりとか、会話をする相手とちゃんと感情を交わせなかった、とかいう、内面で起きていることの方が大きい。

 緊張していると視野が狭くなるので繊細な感情をいろいろ取りこぼす。これが一番恐ろしい失敗かも。


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