梅野は13年のドラフト4位で福岡大からプロ入り。1年目から92試合に出場するなど正捕手候補と期待されていた。19年には捕手のシーズン補殺最多記録(123)を更新するなど、レギュラーになるとともにチームの顔にもなった。30歳になる今年は国内FA権の取得が見込まれ、単年契約でシーズンに挑んでいる。

「チームとして優勝したいところも強いですし、野球人として最高峰を味わいたいというのはあります。来年、とにかくキャリアハイを出して、必要とされるものを作り上げて。必要とされる評価をもらえるところに関しては、この球団も含めて、いろいろなところで考えていきたい」(梅野/20年12月23日・契約更改後の会見)

 主力選手の場合、FA権取得前に複数年で契約し流出を防ぐことが一般的だが、梅野は単年契約を結んだ。会見では残留については明言せず、FA権利行使の可能性も示唆した。ここに来て心境に変化も生まれ始めているようだ。

「打力と肩はずば抜けた捕手なので、どこも欲しいはず。中でも出身地・福岡のソフトバンクが熱心と聞く。オフには子供の頃から憧れだった城島健司(現ソフトバンク球団会長付特別アドバイザー)と会い、アドバイスももらっている。昨年までの起用法や待遇には本人も満足していない。他球団を含め、移籍の可能性もゼロではない」(阪神担当記者)

 梅野自身の積極的な性格も今後の進路に大きな影響を及ぼしそうだ。素直で真面目な好青年であるが、自己主張が強い部分もある。野球選手として純粋に最高峰を見たくなったとしても不思議ではない。

「メジャー挑戦です。城島にもメジャー時代のことをいろいろ質問した。城島も梅野の実力を買っているしああいう男だから、やってみれば良いと背中を押すようなことも言ったらしい。日本人捕手は城島以降、誰も挑戦していない。意思疎通など、多くの壁があるだろうが、夢がある話です」(九州地区テレビ局スポーツ担当)

 城島は梅野との共通点が多い。打力に長け、リーグ屈指の強肩があった。しかしリード面は野村克也氏などから酷評され続けた。バッテリーを組んだ工藤公康(現ソフトバンク監督)にダメ出しをされながらも、配球などを覚えていった。苦労を重ねて捕手として成長し、そしてMLBマリナーズの正捕手にまで登りつめた。梅野を自らと重ね合わせているのかもしれない。

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目先の目標はリーグ優勝