U氏は郵便局長、ロータリークラブ役員という肩書と信用をバックにカネを集めては、豪快に使っていた。好きな高級外車が新しく発売されると、間髪入れず買い替える。

郵便局近くの自宅以外に別荘も所有していた。

ロータリークラブのメンバーの中には、別荘に招待された人もいた。

飲みに行くとも2~3人連れだって何軒もはしご。長崎市内の歓楽街では、1軒の店でワインやシャンパンを2~3本とあけるという気前の良さで、支払いもU氏だった。

「ゴルフも好きで、郵便局は忙しいはずなのに平日にもラウンドしていた。所有していた別荘は目の前が海ですごく豪華だった。ロータリークラブの活動は熱心でしたが、郵便局長としてあまり仕事をしていなかったのかもしれません」(前出・ロータリークラブの関係者)

 日本郵便によると被害は昨年末から寄せられていた。今年1月27日になって明確な被害があることがわかり、長崎県警に相談したという。

「20年以上も局長として在籍。特にトラブルもありませんでした。被害がわかり、U氏からも事情を聞いたところ『遊興費に使った』とおおむね犯行を認めている。定年退職後も郵便局に来て、何かやっていたのも事実のようで架空預金の関連のことかもしれない。MMC貯金の証書を悪用していたのも事実です。日本郵便としては使用しなくなった金融商品の証書は回収します。しかし現実的にU氏の手元に残っていて悪用されたのも事実なので、責任を感じている」(日本郵便)

 U氏はかつてロータリークラブの会報に新年にあたっての抱負を寄せていた。

「人に優しく」

 優しいどころか、人を騙していたU氏。被害者がこれ以上、増えないことを祈るばかりだ。

(今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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