鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)
鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)

写真は本文とは関係ありません(※イメージ写真/iStock)作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします
写真は本文とは関係ありません(※イメージ写真/iStock)
作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします

 4年前の模擬面接の先生の言葉に苦しみ、面接が苦手になってしまったという22歳の女子大学生。就職活動を前に焦る相談者に鴻上尚史が勧める「まず始めること」「一番してほしいこと」とは。

【相談102】模擬面接の先生の言葉が未だにトラウマです(22歳 女性 ヌーナナ)

 大学3年女子です。

 私の悩みは高校生の時のある出来事が未だにトラウマになってしまっているということです。

 その出来事について、少々長くなりますが、説明します。

 高3の時、担任や進路主任の勧めで地元の国立大学の推薦入試(試験内容は小論文+面接)を受験しました。

 その推薦入試の1週間前に、高校で教員3人を面接官に見立てた模擬面接がありました。

 その模擬面接で真ん中に座っていた先生から、「そんな人、誰が入学させたいと思う?」「いつものあなたじゃ受からないよ」とキツめに言われました(実際、不合格でした)。

 もちろん自分のダメなところもわかった上で、面接では自分の長所や、大学では自分のダメな所をどう変えたいのか、をアピールしたつもりでした。

 それでも「そんな人」と言われたのです。

 この時、私は初めて、自分が「そんな人」なんて言われてしまうような人間で、いつもの自分はダメな人間なんだと思い知らされました。

 この出来事からもう4年も経つのに、未だにこの出来事がフラッシュバックしたり、夢にみたりします。

「面接」という文言を見聞きしただけでも腹痛を起こします。

 そろそろ就活しなきゃなのに。

 どうしたら、この過去から解放されるのでしょうか?

 ぜひご意見伺いたいです。

【鴻上さんの答え】
 ヌーナナさん。大変な目に遭いましたね。

 ヌーナナさんは何も悪くないですね。高校3年で、緊張していて、必死に面接の練習をしている時に、きつい口調で「そんな人、誰が入学させたいと思う?」「いつものあなたじゃ受からないよ」と言われたら、それはショックでしょう。

 ヌーナナさんが面接をナメて、バカにしていたのならともかく、教師から見て足らないと感じても、こんな言い方はしなくてよかったのにと思います。

 それでも、「面接」の季節はやってきますね。

 残念ながら、就職と「面接」は切っても切れないものですからね。

 とすれば、ここはひとつ、なんとかして「面接」に対する苦手意識を和らげるしかないと思います。

 ヌーナナさんは、「トラウマ」という言葉を使っていますが、ただ緊張するだけではなく、腹痛という身体反応を起こすのですから、事態はちょっとやっかいですね。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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