一番のお勧めは、カウンセラーとか精神分析医、心理士に話を聞いてもらい、治療を受けることです。

 4年たっても「フラッシュバックしたり、夢にみたり」するのですから、このさい、ちゃんと治療した方がいいと思います。

「薬をもらって、3分で終了」というタイプではなく、じっくりとヌーナナさんの話を聞いてくれる人を選ぶのです。

 先日、精神分析医で、作詞家の北山修さんと対談したのですが、いい先生を選ぶためには、まずは、「本人の書いた著書を読んで、信頼できる先生を見つけたら、そこを訪ねる」という方法、「ホームページが丁寧でしっかりしているクリニックや病院を選ぶ」「身近な内科や小児科の先生から、信頼できる精神科医を紹介してもらう」という方法を教えてもらいました。

 北山さんは、「自分のことは自分が一番分からないんですから、他の人の力を借りて、自分を知ることはとても有効な方法です」とおっしゃいました。長年、人の悩みを聞き続け、治療してきた人の言葉だと感じました。

 ですから、ヌーナナさんもカウンセラーなどの力を借りて、ゆっくりと治療するのがいいと僕は思います。

 いきなりは抵抗があると思うのでしたら、その前の段階としては、友達に頼んで「模擬面接」をするというのがあります。友達に面接官として、いろいろと質問してもらうのです。

 最初は、自宅とか公園とかファミレスとか、ラフな雰囲気の場所で始めて、やがて、大学の教室とか会議室などの硬い雰囲気の場所に移ります。人数も頼めれば、一人から二人、三人へと増やします。まあ、みんな就活の季節なら、持ち回りでやるということもあるでしょう。

 そうやって、少しずつ、本番の「面接」に慣れていくのです。

 たくさんやることが大切です。一回や二回だけだと、ドキドキするだけで効果はあまりないと思います。

 さらにその前の段階だと、自室で目の前に椅子だけを置いて、一人で「面接の予行演習」をするというのもあります。

 目の前の椅子に面接官が座っているとイメージするのです。それだけでドキドキすると思います。腹痛も起こるかもしれません。一人だと、いつでもやめられるので、まずはここから始めるのです。

 これも、繰り返しやることが大切です。

 でも、一番のお勧めは繰り返しますが、クリニックや病院、精神分析医や精神科医を訪ねることです。

 最初は、ハードルが高いと思うかもしれませんが、行ってみたら、きっと良かったと思うはずです。

 もちろん、この人とは「合わない」と思ったらすぐに別の所に行って下さい。無理をすることはないです。

 ヌーナナさん、どうですか?

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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