2月下旬のJリーグ開幕から早1カ月が過ぎた。3月には日本代表とともにU-24日本代表の強化試合も実施され、久保建英(ヘタフェ)を筆頭にした海外組と三苫薫、田中碧、旗手怜央(いずれも川崎)、瀬古歩夢(C大阪)、相馬勇紀(名古屋)などの国内組が融合。それぞれがアピールに成功したが、今回の招集メンバー以外にもJリーグで“違い”を見せている才能あふれる若手は、まだまだいる。
【写真】「ケガがなければ…」日本代表の歴史を変えられた“未完の逸材”といえばこの人
すでに広く認知されているのが、ケガがなければ招集されていた可能性が高い上田綺世(鹿島)と前田大然(横浜FM)の2人のFWだ。法政大在学時にA代表の一員としてコパ・アメリカに出場した上田は、そこでの悔しさを自らの成長の糧にして心身ともにスケールアップを果たし、昨季はリーグ戦26試合に出場して10得点をマーク。
迎えた今季は開幕戦で負傷する不運に見舞われたが、3月27日に行われたルヴァン杯・福岡戦ではCKからのヘディング弾と、ゴール前で巧みなフェイントでボールを持ち換え、強烈な右足弾を叩き込んで2得点をマークした。元々の持ち味である動き出しの巧みさに、貪欲さと力強さを上積みし、豪快でダイナミックな点取り屋へと進化を遂げようとしている。FWにとって最も有効な成長剤はゴール。今後、Jリーグの舞台で得点を重ね続ければ、「助っ人の相棒」ではなく「真のエース」になれる。そうすれば、代表の舞台でも堂々とプレーできるはずだ。
高さとパワーでは上田だが、スピードでは前田が圧倒的だ。ポルトガルでの1年間の武者修行を経て昨夏にJリーグに復帰し、リーグ戦23試合に出場。そして今季、開幕2戦目・広島戦から福岡、浦和、徳島と4試合連続ゴールを記録し、早くも昨季の3得点を上回り、現時点でリーグトップタイの6得点をマークしている。驚異的なスプリント力は世界に通用し、その爆発的な加速に思わず息を飲むほど。守備時には前線から猛烈なプレスを何度も仕掛け、すでにJリーグのDF陣が餌食になっている。以前はスピードタイプにありがちなゴール前での“雑さ”も見えていたが、今季はより洗練されたフィニッシュでゴールを量産。東京五輪本番でも「切り札」以上の存在になれる。