今シーズンのチーム状況を見ると、正捕手に最も近い存在と言えるのは木下拓哉になるだろう。2015年のドラフト3位でプロ入りし、即戦力として期待されながらなかなか一軍定着を果たすことはできなかったが、5年目の昨年はシーズン終盤に定位置を獲得。盗塁阻止率はリーグトップの.455をマークし、大きな飛躍の年となった。

 しかしこのまま木下がレギュラーに収まるかは微妙なところである。ライバルの筆頭候補となるのが今年2年目の郡司裕也だ。昨年は攻守ともにプロのレベルに戸惑うところがあったが、元々持っている能力は高く、キャンプと練習試合でも好プレーを見せている。肩の強さではリーグ有数の力がある加藤匠馬、パワフルな打撃が持ち味のA.マルティネス、高校卒の若手ではスケールの大きさが魅力の石橋康太も控えている。まだしばらくは流動的な状態が続く可能性が高そうだ。

 中日と同じく捕手のレギュラーがなかなか固定されないのが日本ハムだ。2004年には高橋信二が規定打席に到達して26本塁打、84打点の大活躍を見せたものの、その後は鶴岡慎也、大野、近藤健介などの併用が続き、大野の退団後は清水優心、宇佐見真吾の起用が多くなっているが、レギュラー獲得には至っていない。

 今年も清水と宇佐見の2人がレギュラー争いの中心になりそうだが、ドラフト3位で入団したルーキーの古川裕大も面白い存在だ。意図的にレギュラーを固定せずに戦ってきたという面もありそうだが、低迷から巻き返すためにもそろそろ毎年100試合以上を任せられる大黒柱を確立したいところだ。

 オリックスのセンターも流動的なシーズンが続いている。最後に不動のレギュラーとして活躍したのは2011年の坂口智隆で、全試合フルイニング出場を果たし最多安打のタイトルも獲得している。翌年以降、坂口の成績が下がると次代のレギュラーとして後藤駿太が期待されたが、打撃がなかなか安定せずに2015年の78安打をピークに徐々に成績が低下。2018年には宗佑磨が62安打を放ち期待を持たせたが、以降の2年間は頭打ちとなっている。

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ポジションの固定=強さではない?