ウッズが退団した翌年、来日1年目でいきなりホームラン王のタイトルに輝いたのがブランコだ。ゲレーロと同じく開幕当初は日本の野球に苦しんだものの5月以降はホームランを量産。夏場以降に少し失速して40本にはわずかに届かなかったものの2位の阿部慎之助(巨人)に7本という大差をつける39本塁打でホームラン王争いを制した。

 来日から2年連続でリーグ最多三振を記録するなど穴の多いバッターだったが、DeNAに移籍した2013年にはいきなり大きく打率を上げて首位打者のタイトルを獲得したのも印象深い。3球団目となるオリックスでは故障もあって成績を残すことはできなかったが、そのパワーは歴代の外国人選手の中でも上位だろう。

 パ・リーグの球場でデータ的にホームランが出づらいのが札幌ドームだが、近年本拠地とする日本ハムでホームラン王に輝いたのがアブレイユとレアードの2人だ。アブレイユはキューバ出身でメジャーでの実績はなかったものの、2013年のキャンプ中にテストを受けて日本ハムに入団。5月は打率1割台と大きく低迷したものの、その後は持ち直してコンスタントにホームランを放ち、31本塁打でタイトルを獲得した。ちなみにこの年のパ・リーグはどの球団もホームランが少なく、30本を超えたのはアブレイユだけである(2位は日本ハム・中田翔の28本塁打)。

 レアードはアブレイユと入れ替わる形で2015年に来日。1年目から打率は低かったもののリーグ3位タイとなる34本塁打を放つと、翌年は対応力がアップして前半戦からホームランを量産。夏場に少し調子を落としたものの、シーズン終盤巻き返して前年を上回る39本塁打でホームラン王に輝いた。また日本シリーズでも3本のホームランを放ち、MVPにも輝いている。昨年は故障で苦しんだが、今年は完全復活の期待もかかる。

 こうして並べてみると、ウッズは弾丸ライナーも多かったが、比較的ボールを打ち上げるタイプの選手が多いことが目立つ。札幌やナゴヤはやはりフェンスも高く、そのようなスタイルの選手ではないとホームランを量産することは難しいだろう。データの活用が進み、ホームランを打つために必要な打球の角度も明らかになってきているが、日本人選手でも広い本拠地をものともせずにホームランを量産する選手が登場することを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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