昨年の箱根駅伝で総合5位に躍進した東京国際大は、今年もしぶとく10位に入ってシード権を獲得。「黒×金色」のユニフォームも見慣れてきた。特に往路は6位。2区で14人抜き、1時間5分49秒の区間新記録という異次元の走りを見せた留学生のヴィンセント(2年)が“あと2年”走れる。今年のメンバーは全10区間中6人が4年生だったが、1区14位だった丹所健(2年)と4区13位だった宗像聖(2人)が勝負強さを身に付け、他のメンバーも力を伸ばせば、来年は5位以上を狙える。少なくともヴィンセントが万全な状態ならば、必ず1度はトップに躍り出ることができるはずだ。

 優勝の本命候補となると、田沢廉(2年)を擁する今年の優勝校・駒沢大と総合3位のチームに5000メートルの日本高校記録を更新(13分34秒74)した石田洸介(東農大二高)が加わる東洋大、往路12位から復路優勝での総合4位と底力を見せた青山学院大の“3強”は外せないが、そこに匹敵する力を持ちそうなチームが、伝統の早稲田大だ。

 今年の箱根でも3強+明治大に次ぐ存在として期待された早稲田大だったが、結果は総合6位。それでも往路11位からの巻き返しは価値あるものだった。メンバーを見ると4年生は1人のみ。1万メートル27分54秒06のタイムを持つエース・中谷雄飛(3年)と今年の箱根で2区を走った太田直希(3年)、さらに8区で区間5位だった千明龍之佑(3年)ら入学時から期待されていた世代が最終学年となり、来年は集大成の箱根路に挑むことになる。

 その他にも1区で区間5位だった井川龍人(2年)、4区で区間3位だった鈴木創士(2年)がおり、さらに新1年生として昨年11月に5000メートル高校歴代2位のタイム(13分36秒57)をマークした伊藤大志(佐久長聖高)が入学予定。出雲、全日本でチームとして自信を深めることができれば、2011年以来11年ぶりの総合優勝へチャンスも広がる。

 果たして来年の箱根駅伝はどうなるのか。再び新興校の驚きの躍進があるのか。初出場を目指す麗沢大や駿河台大にも期待。そしてまずは無事に、安全に開催できること。対策をすべて取りながら、新たなドラマの誕生を期待したい。