小倉智昭(C)朝日新聞社
小倉智昭(C)朝日新聞社

 1月13日、フジテレビの朝の情報番組『とくダネ!』が3月末で終了することが発表された。番組が終了するのではないかという噂は以前からあったので、個人的にはそのニュース自体にはさほど驚きはなかった。それよりも、生放送の番組内でそのことが明かされた際に、司会の小倉智昭が話した内容が印象に残った。

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 小倉は「次の世代の人にキャスターのポジションを譲りたい」と述べた後、このように語った。

病気してから、ネット情報とか見るようになっちゃったんですね。そうするとやっぱりね、『老害じゃないか』とかね、『ボケてんじゃないか』とか、そういう言葉きついもんなんですよ。で、お年寄りの政治家見ると、ああ、やっぱり年取るとダメかな、なんていう。少しずつ思うようになりました。そんなこともあって、私はそろそろいいのかな、っていう」

 小倉は、降板を決めた理由の1つとして、ネット上で自分に対して批判の声があるということを挙げていたのだ。この話を聞いて、最近似たようなことがあったのを思い出した。それは、上沼恵美子が自身のラジオ番組の中で『M-1グランプリ』の審査員を務めたことについて語っていたことだ。

 上沼の『M-1』での審査は、歯に衣着せぬ厳しいコメントで知られている。自分の感性でネタの出来をはっきり判断して、面白くないと思った場合はバッサリ斬り捨てる。その容赦ないコメントが毎回話題を呼んでいた。

 だが、昨年末の『M-1』では、上沼がいつになく優しかったと言われていた。すべての芸人に対して前向きな言葉だけを残しており、厳しいコメントが全くなかったのだ。

 その理由について、上沼はラジオ番組で「おとなしくしろと息子に言われたから」と語っていた。上沼自身はネットの評判などを直接見ることはないのだが、息子を通して「よく炎上している」という話が耳に入っていた。彼にたしなめられたため、昨年は厳しいコメントをするのを控えたというのだ。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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