大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 新型コロナウイルス感染症の予防策として、手洗いが励行されています。しかし、この冬はそのためか、手荒れや手湿疹に悩む人が多いようです。京都大学医学部特定准教授で皮膚科医の大塚篤司医師が、自分でできる手荒れ対策について解説します。

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 新型コロナウイルス感染症が拡大し、手洗いやアルコール消毒をする機会が増えました。それに伴い、手荒れや手湿疹で困っている患者さんが増加しています。皮膚科の外来でも、手荒れのひどい人、マスクの中のニキビが悪化した人など、感染症対策で起きた皮膚トラブルの患者さんの相談を多く受けるようになりました。今回はその中でも相談の多い手荒れにどう対応するか説明したいと思います。

■手洗いが必要な場面、そうでない場面

 まず、手洗いやアルコール消毒がなぜ必要かというところから考えてみましょう。それは、新型コロナウイルスを含め感染症をもらわないためであり、広めないためです。この部分をしっかり理解しておかないと余計な手洗いをして、結果として手荒れが起きます。

 多くの人は、外から家に帰ってきたときに手洗いをしますね。それは、外でウイルスが付着した「なにか」を触った可能性があるためです。例えば、気分転換の散歩で公園をぶらっと歩くだけで帰ってきた場合、途中でなにも物に触れていなければ手洗いをする必要はありません。そもそも、ウイルスが付着している可能性があるなにかに触れていないのですから。

 一方、通勤の途中で電車の手すりやエスカレーターの手すりにつかまった場合は、会社についたときに手洗いをする必要があります。なぜなら、手すりについたウイルスを会社で広めてしまうかもしれないからです。

デパートやレストランの入り口で手をアルコール消毒するのは、周りのお客さんにうつさないためです。コロナに感染している無症候の人が唾液(だえき)や鼻水などの体液がついた手で商品にベタベタ触ると感染拡大するリスクが上がります。なので、万が一、自分が無症候感染者の場合も考えて、入店前に手をアルコール消毒することが必要です。

 手洗いやアルコール消毒が増えれば手荒れを引き起こします。まずは自分の手指衛生が適切なタイミングで行われているか振り返ることが大切でしょう。コロナが心配のあまり手洗いしすぎていませんか?

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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