佐藤亮子さん(撮影・小原雄輝)
佐藤亮子さん(撮影・小原雄輝)
末っ子の長女の合格発表。母娘抱き合って涙…(撮影・加藤夏子)
末っ子の長女の合格発表。母娘抱き合って涙…(撮影・加藤夏子)

 いよいよ受験シーズン本番。16日には、初めての「大学入学共通テスト」が実施される。今年はコロナ禍の受験で、不安や焦りを感じる受験生も多いが「最後の最後まであきらめないこと」と話すのは、子ども4人全員が東大理IIIに合格した佐藤ママこと佐藤亮子さん。4人の子どもの受験をサポートして得られた知見を聞いた。

【写真】「あった!」末っ子長女の東大合格発表の瞬間とは

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――共通テストの実施まであと数日。佐藤さんは、直前期は参考書を読むのではなく、問題集をひたすら解くことを勧めています。それに関連して、誰もが驚くような経験をされたそうですね。

佐藤亮子(佐藤ママ):そうなんです。三男のセンター試験の古文で、問題集で直前に解いたのと同じ問題が出たのです。驚いたことに本文がまるごとそのまま同じでした。

 実は、センター試験の3日前になって、手持ちの問題集はすべて解き終えてしまって、やるべき問題集がなくなってしまったのです。残り3日であっても無駄にはできませんので、新しい問題集を買いに、書店に行きました。ところが、直前期なので、センター試験対策の問題集なんてほとんど置いていません。店内をくまなく探したところ、売れ残りでしょうか。本棚の一番上に、4冊だけパタパタと倒れて残っていました。世界史2冊、国語が2冊です。

 それを3日間でやることにしました。試験2日前の夜のことです。前日は試験会場の神戸に宿泊することになっていたので、奈良の自宅で過ごす最後の夜でした。夜7時過ぎに、古文の問題に取り組みました。もう最後なので、注釈も私がしっかり音読して、本文について「ああだ」「こうだ」と2人で楽しく話し合ったのです。

 そして迎えたセンター試験。1日目を終えて帰ってきたとき、三男はなんだかぼんやりとした表情をしていました。「これはまずい!芳しくなかったんだ」と心配したら、なんとその逆でした。

「おとといママとやった問題がまるごと出たんだよ……」と三男。聞けば、本文を読まないでも解けたので、20分で解く予定だった古文が2分で解答できたということでした。その年は現代文が少し難解な作品だったので、余った時間を現代文に回すことができて点数をしっかりとることができました。

 後からわかったのですが、学校でその問題集を事前に解いていた生徒さんがもう一人いたそうです。その生徒さんは文系でした。三男は理系なので特に助かりましたね。友人らから「あの時、佐藤の背中からは紫色のオーラがでていた」と言われたそうです(笑)。

――直前に“的中”するとは、見事です。狙っても、そこまでは難しいとして、問題集をやることにどんな意味があるのでしょうか。

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参考書をパラパラ…これでは受からない