答えがわからなくても、問題文に印をつけ、あてずっぽうでいいので解答欄は塗りつぶしておくこと。これもマークミスを防ぐためです。そして、わからない問題があるのは当たり前だと思って、忘れて次へ次へと進んでいくことです。とにかく最後の問題までいきつくこと。最後の問題が簡単というのはよくあることなんです。それが途中でつまずいて、たどり着けなかったために点が取れる最後の問題を取りこぼすのはもったいないですよ。

――受験は甘くありませんね。こうしたテクニック以外に、準備しておくことは何でしょう。

佐藤ママ:意外だと思われるかもしれませんが、筆記用具も大事です。消しゴムが転がって机から落ちたらかなり焦ります。1個しか持っていないと、1分1秒を争う試験で、試験管に「落ちてしまいました。取ってください」と言っている時間はありません。最低3つくらい用意して持っていきましょう。新品の消しゴムは角がとがっていますが、これが消しにくい。あらかじめ、少しカッターナイフでまるくしておくのが肝心です。

 鉛筆も同様に多めに持っていきましょう。英語や地図がプリントされたトレーナーなども着ていかないように注意しましょう。会場で脱がされることもあるようです。コートを着て受験できたとしても、動揺してしまいます。

 当日は問題を解くことだけに集中できるように準備しておくことです。

――準備しても準備しても、不安になります。

佐藤ママ:試験の内容が準備万端で臨める受験生はほとんどいません。でも、自分がしっかり準備した部分は必ず点に結びつけてください。自分がこれは解けるという問題は絶対に落とさない。そういう問題が出題されて、きちんと自信を持って解答できると気持ちが落ち着いて前向きに他の問題にも取り組めます。その自信のある解答は、受験生にとって一筋の光となり「自分は合格できるかも」と思えるので、合格に対して欲が出てくるのです。受験のような緊張する時にはそのようなことは非常に大事な要素です。

 その手持ちの武器をより精度の高いものにするために、いまは、粘って質の高い勉強のやり方を心がけてください。参考書をパラパラと眺めるだけではダメです。試験に出るポイントはだいたい決まっているので、問題を一つずつ丁寧に、注釈も読み飛ばさず、しっかりやってください。そうすれば、本番で自信を持って解ける問題が増えることになりますから、合格がグッと近づいてきます。

 この時期、焦る気持ちはあるかと思いますが、でも、コロナ禍でも自分は感染せずに試験を受けられることはラッキーですよ。受験できることに感謝して、最後の最後まであきらめず、目の前のチャンスをつかみとってください。合格は自分の手で引き寄せるものですから、しっかり掴んだら決して離さないように頑張ることです。(まとめ/AERAdot.編集部 鎌田倫子)