認知症の親の介護は家族側の負担も考えて判断したい(写真はイメージです)
認知症の親の介護は家族側の負担も考えて判断したい(写真はイメージです)
【ケース1】(A)は、84歳で有料老人ホームに入居した場合のシミュレーション。施設は首都圏の中堅クラスで、初期費用がなく月払いのプランを想定。「介護保険自己負担」は身体介護サービスを中心に試算(以下同様)。(B)は、特養に申し込める要介護3の認定を受けるまでは、自宅介護で乗り切る場合のシミュレーション。入居前はもちろん、入居後の月額利用料も介護付き有料老人ホームに比べて安いが、入居までの介護負担は重い。
【ケース1】(A)は、84歳で有料老人ホームに入居した場合のシミュレーション。施設は首都圏の中堅クラスで、初期費用がなく月払いのプランを想定。「介護保険自己負担」は身体介護サービスを中心に試算(以下同様)。(B)は、特養に申し込める要介護3の認定を受けるまでは、自宅介護で乗り切る場合のシミュレーション。入居前はもちろん、入居後の月額利用料も介護付き有料老人ホームに比べて安いが、入居までの介護負担は重い。
【ケース2】(A)は、家族が面会に通いやすい首都圏で、標準的な価格の介護付き有料老人ホームに入居した場合のシミュレーション。まとまった前払い金は不要な施設だが、月額利用料は約29万円と年金額をはるかに上回る。(B)は、父の自宅と同じ県内にある地方の介護付き有料老人ホームに入居した場合のシミュレーション。月額利用料は約17万円と首都圏のホームに比べると約12万円も安くすむ。ただし、面会の際の交通費はかさむ。
【ケース2】(A)は、家族が面会に通いやすい首都圏で、標準的な価格の介護付き有料老人ホームに入居した場合のシミュレーション。まとまった前払い金は不要な施設だが、月額利用料は約29万円と年金額をはるかに上回る。(B)は、父の自宅と同じ県内にある地方の介護付き有料老人ホームに入居した場合のシミュレーション。月額利用料は約17万円と首都圏のホームに比べると約12万円も安くすむ。ただし、面会の際の交通費はかさむ。

 高齢者ホームに入居となると、老後の大切なお金を使うことになる。あれこれ悩む方も多いのではないだろうか。現在発売中の週刊朝日ムック「高齢者ホーム2021」では、高齢者ホームを探している人の具体的なケースを取り上げつつ、シミュレーションをもとにその人に合った方策を専門家に解説してもらった。今回は「認知症の親をどうする?」「都市部と地方のホームではどちらがいい?」をテーマにお届けする。

【シュミレーション】84歳で有料老人ホーム入居と自宅介護

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■ケース1:認知症の親をどうする?

 まずは、認知症の親御さんを介護しているケースからです。

<84歳の母が認知症で要介護2の認定を受ける。介護負担が重いため、同居家族は介護付き有料老人ホームに入居させるか、特別養護老人ホームに申し込みできるようになるまで在宅を続けるか迷っている。
その後、認知症の進行と身体能力低下で89歳で要介護3、91歳で要介護4、92歳で要介護5となり、その1年後に死亡すると想定>

 このケースについて、スターパートナーズ代表で介護コンサルタントの齋藤直路さんは、次のように話します。

「認知症の場合、要介護2は症状が進行していても、身体は比較的元気で自由に動ける状態の方が該当します。この状態は、介護する家族側の負担が特に重くなりがちです」

 認知症は必ずしも要介護度と介護の負担が比例せず、要介護度が軽いほうが家族の負担が大きいことがあります。症状は人によって異なりますが、本人の行動や言動が粗暴になったり、昼夜が逆転したりすると、家族が体力的にも精神的にも追い込まれてしまいがちです。

 施設介護の中でも費用が安い特別養護老人ホーム(特養)は、原則として要介護3以上でないと申し込めません。

介護付き有料老人ホームなどすぐに入居できるところを利用するか、費用をなるべく抑えたいなら要介護2までは介護保険をフル活用して在宅介護し、要介護3になってから申し込むことになります。

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