そしてたたみかけるのだ。

<<みなさん、よーく聞いてくださいね。若いおねーちゃんや人の奥さんが色っぽく見えるのは、「人前の顔」しか見ていないからですよ。
 逆に家の中でパンストをまじめな顔でたくし上げているあなたの奥さんだって、他人から見れば色気たっぷりってこともあるものです。
 なんて、人のことをフォローしている場合ではない。とにかく私、最近ブサイクだし、おばちゃんみたいだ。おそろしいことに、ときにはおじちゃんみたいなときだってある! 本当にまずい……。>>

 連載をまとめた書籍『生病検査薬≒性病検査薬』には、飯島さんが新たに書き下ろしたコラムもいくつか掲載されている。そのひとつ、本のタイトルに絡めて、最初に出てくる「性病検査薬」というコラムには、この書籍に実際に、性病検査キットを付録で付けた思いも書いていた。

<<そう、保険証は大きな問題だった。
 親の扶養家族となっている若い子達が一番の性病保持者であることが間違いない今、この保険証に産婦人科の印鑑が押されるのは非常に困る。
 なんせ、親は、子供の妊娠、性病を恥じる。そして娘を怒るであろう。
 でも、一番、傷ついているのは当事者の女の子です。若い女の子が産婦人科のドアをノックする姿は、いつも無条件に哀しく映ります。>>

  その後飯島さんが引退したのは2007年だが、その5年前に書かれた「店」というタイトルのコラムには、引退後、実際に彼女が実現させる寸前だった事業のプランも、おもしろおかしく書かれていた。マーケティング調査は、すでにスタートしていのだ。

<<そうして、さらに将来を考える。いま考えてるのはポルノショップ。外国の雑誌見てると、これがけっこうかわいいの。ファッションなのよ。
 今の私に何が必要かと考えたら、ポルノグッズだったの。あんまり本気だから、実は詳しいことはここには書きたくないけど。
 ポルノグッズといっても、肌に触れるモノだから、厚生労働省の許可とかいろいろややこしい。で、ほんとに知り合いの女性に頼んであれこれ調べてもらった。
 しばらくして、これまで集めた資料をドンと渡されて、彼女は調査の打ち切りを申し出てきた。
「もう勘弁してください。名刺もなしにポルノショップを何軒も回って。一見、ただの客じゃないですか!」
 ファッションなんだからと、彼女を引き留める私。
「だったら飯島さんが行けばいいじゃないですか!」
 それから半年後、彼女から久々に連絡があった。
「○○の二号店が渋谷にできましたよ。店内はカップルのお客さんがいっぱい入ってました」
 なんだ、ちゃんと店の中まで入ってんじゃねーかよ。>>
(週刊朝日2002年11月29日号「飯島愛の錦糸町風印税生活」より)

(文/福光恵)