「ねーねー、ブログは何文字書いてもいいのに、なんで雑誌の記事って文字数が決まってるの? 半分書いて、あとは空白じゃだめなの?」

 いい質問ね。でも、感心してちゃいけない。今ならチコちゃんにどやされそうだが、「とにかくそういうもんなの!」と言うしかない。パソコンの前に座って原稿を書く時間がないときは、楽屋などにおじゃまして、本人に直接、聞いたり、電話やテープのから原稿を起こすことも多かった。ただし、仕事はここからだ。これはライターの力不足も原因なのだが、そうして作った原稿に、飯島さんが電話やFAXでびっしり直しを入れてくる。そして直し、また赤を入れて、直すを繰り返すこと数回。みんながへとへとになって、ようやく最終原稿ができあがるパターンがほとんどだった。

 飯島さんのこうした原稿へのこだわりは、約2年2カ月の連載の期間中、ずっと同じテンションで続いた。連載終了が決まったとき、飯島さんや事務所スタッフと、「もうやらないでいいんだね。つくづく、ほっとしたね」と笑い合ったことを覚えている。ごめんね。

 と、前置きが長くて「くどくない?」と飯島さんに怒られそうなので、連載のなかで思い出に残っているコラムを、いくつか紹介しようと思う。まず、完成した原稿を読んで、思わず一緒に笑った記憶があるのは、「パンスト」(著書『生病検査薬≒性病検査薬』に収録)。

 久々にオシャレをしてでかけようとした飯島さんが、出がけにブーツのファスナーにパンストを引っかけてしまったときのこと。

<<それにしても、新しいパンストにはき替えている姿は、男性が描いている女の姿とはほど遠い。エロチシズムのかけらもない。
 パンストのつま先部分になんとか自分のつま先をたどりつかせ、あとは必死でたくし上げる。最後にパンストのウエスト部分を引っ張りながら、足を曲げたり伸ばしたり。これで、またの間のたるみはすっきり解消。その姿なんて、人が見たらシコ踏んでるみたいかも。とにかく超カッチョ悪いのよ。>>

<<誰かの視線を意識しないと、(パンストを履くときに)指が脚の上を滑っていくように、いやらしくは動かないんです。ただそんなこと、日ごろ意識していたら身がもたない。おばちゃんみたいな生活を、誰だってしてるのです。>>

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「一番傷ついているのは女の子です」