そしてその横川以上の結果を残してアピールしたのが井上だ。9日のロッテ戦では味方の援護がなく負け投手となったものの8回を投げて2失点と好投。その後は1試合ロングリリーフでの登板を挟んだが、23日の中日戦でも8回2失点、29日の日本ハム戦では7回をわずか1安打無失点と3度の先発全てで結果を残してみせた。高校時代からフォームの良さは抜群で、数字以上に速く見えるストレートが大きな特長だ。この1年でかなり体重も増え、プロらしい体つきになってきたように見える。来年は一軍抜擢のチャンスも十分に考えられ、横川とともに次代を担う投手の一人として注目を集めることになりそうだ。

 野手で目立つ活躍を見せたのが日本ハムの野村佑希、海老原一佳の二人だ。高校卒2年目の野村は今年ビヤヌエバの出遅れもあって開幕スタメン出場を果たし、7月にはプロ初本塁打をマーク。その直後に打球を右手に受けて骨折し長期離脱となったものの、シーズン終盤には復帰し本拠地の最終戦では4打点も記録している。

 フェニックスリーグでは全18試合に出場。打率.338、3本塁打、12打点と見事な成績を残した。軽く振っているように見えてもヘッドが走って打球が飛ぶのが特長で、その高い放物線にはホームラン打者らしさがあふれている。積極的に打ちに行くスタイルも魅力だ。サードの守備もまだまだ堅実さは物足りないが、スローイングに強さがあるのは心強い。来季は新外国人のロニー・ロドリゲスとポジション争いを演じることになるが、何とか勝ち抜いてサードのレギュラーに定着したいところだ。

 一方の海老原は育成ドラフトで入団して2年目の外野手。昨年は11本塁打、今年も10本塁打と二軍では長打力を発揮している。確実性が課題と言われていたが、このフェニックスリーグでは終始安定した打撃で打率.326をマーク。大学、独立リーグ時代と比べても下半身が明らかに安定し、目線がぶれなくなったように見える。持ち味であるフルスイングと長打力も残しており、野村を上回る4本塁打を放ち、15安打のうち半数以上の9本が長打だった。この調子を維持できれば支配下登録の可能性は高く、外野のレギュラー争いに加わってくることも十分に考えられるだろう。

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