首位打者を獲得した84年前後、期待の若手『50番トリオ』が華々しく1軍デビュー。しかし篠塚はライバルとしてではなく、先輩として彼らに接していたと言う。

 現在の巨人で気になるのは『背番号6』の後継者、坂本勇人だ。

 30歳を越えて、そろそろベテランと呼ばれ始める年代に入って来た。篠塚自身も悩まされた腰痛を同じく抱えている。自身の体調はもちろん、『世代交代』との戦いも避けては通れない時期になっている。

「腰の具合もあるし、年齢による衰えも出て来るはず。打撃技術などは心配ないが、問題は守備位置。遊撃手はポジションが広く疲労も大きい。今後三塁などを守るというのは、彼自身の頭にはあるはず。ヤクルトの宮本慎也もそうだった。試合の中で替えがきかない選手だから。今は巨人の顔として、当時の僕らと同じ気持ちでいるだろうね。若い世代が育ってくれればと思っているんじゃないかな。今後、三塁コンバートで巨人の世代交代も進む。他選手のポジションとの兼ね合いもあるから、そこはタイミングだね」

 巨人は常勝を求められる。これまでは期待された若手が伸び悩んでいた時期もあった。当然、他球団からの補強に頼らないといけない部分もあった。しかしここへ来て吉川尚輝や松原聖弥など、新たにレギュラーに定着しそうな生え抜き選手も多く現れている。

「若手が結果を残せず補強に頼らざるを得なかった。吉川もそういう状態下に埋もれつつあったので、今が踏ん張りどころ。これまでは故障で離脱もあった。今は状態が良いので、これをいかに継続するか。松原は面白い選手だったが、なかなか1軍に呼ばれなかった。他の選手はどんどん上がっていたから、本人も悔しい思いをしたはず。絶対に頑張るという強い気持ちがある。育成から努力を重ねてここまで来たのは素晴らしい」

 編成面の動きからも目が離せない。特にトリプルスリーを3回達成した、ヤクルト山田哲人がFA権を持ってオフを迎える。これまで長い間、チームが固定できなかったポジションでもある二塁手なだけに、巨人も獲得競争に参加することが濃厚だと見られている。

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「個人的な意見だが、獲れる選手は獲れば良い」