※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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松本秀男(まつもとひでお)/医師。専門はスポーツ医学。1954年生まれ。東京都出身。1978年、慶応義塾大学医学部卒。2009年から2019年3月まで、慶応義塾大学スポーツ医学総合センター診療部長、教授。トップアスリートも含め多くのアスリートたちの選手生命を救ってきた。日本臨床スポーツ医学会理事長、日本スポーツ医学財団理事長
松本秀男(まつもとひでお)/医師。専門はスポーツ医学。1954年生まれ。東京都出身。1978年、慶応義塾大学医学部卒。2009年から2019年3月まで、慶応義塾大学スポーツ医学総合センター診療部長、教授。トップアスリートも含め多くのアスリートたちの選手生命を救ってきた。日本臨床スポーツ医学会理事長、日本スポーツ医学財団理事長

 私たちは運動する前、あたり前のように準備体操をしています。ウォーミングアップは、からだを温めて身体機能を高めるだけでなく、けがや障害の発生を予防するうえでも大切です。では、運動後におこなわれるクーリングダウンは、必要なのでしょうか? 日本スポーツ医学財団理事長の松本秀男医師に、ウォーミングアップとクーリングダウンについて解説してもらいます。

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 一日の始まりにラジオ体操で軽い運動をして、からだと脳の働きの活性化に役立てているという人は少なくないでしょう。また、部活動の練習前やスポーツ大会の開会時などには、必ず準備体操がおこなわれています。身体活動や運動に備えて、まずウォーミングアップをしてからだをほぐすことが、活動度を高めたり安全にスポーツをしたりするうえで必要なことだということは、一般に広く認識されています。

 なんとなくやっておいたほうがいいと思っている人もいるでしょうが、医学的に効果があることだと証明されています。

 まず、いきなり運動をすることは、とても危険なことです。たとえば、転倒によるけがや捻挫、肉離れなどを起こすリスクが高くなります。また、急に運動すると心臓に大きな負担がかかり、なかには狭心症や心筋梗塞(こうそく)などの虚血性心疾患を起こして、突然死につながるケースもあることを忘れてはいけません。

 ウォーミングアップの基本は、ストレッチや軽いジョギングなどの軽運動を通して、からだをほぐして動きやすくすることにあります。縮こまり硬くなっている筋を伸ばしたり、関節を動かして関節液を循環させて軟骨の滑りをよくしたりします。

 また、ウォーミングアップはその名前の通り「体温を高める」ことや心拍数や血流量を「上げる」ことを目的とした準備運動です。代謝を向上させ体温を上げると、運動する前のからだの状態を整えることができます。筋温が上がると、筋や関節の動きがスムーズになり、障害の発生予防になるとともに、パワーを発揮しやすくなります。

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松本秀男

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松本秀男(まつもとひでお)/医師。専門はスポーツ医学。1954年生まれ。東京都出身。1978年、慶応義塾大学医学部卒。2009年から2019年3月まで、慶応義塾大学スポーツ医学総合センター診療部長、教授。トップアスリートも含め多くのアスリートたちの選手生命を救ってきた。日本臨床スポーツ医学会理事長、日本スポーツ医学財団理事長。

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