藤枝さんは、パート5の攻略に関して、「公式問題集」に加え補助輪的に他の教材を使うことを提案する。自身は「1駅1題 新TOEIC(R) TEST文法特急」(朝日新聞出版)を活用した。ただ解いて答え合わせをするだけではない。short、shorter、shortly、shortnessと語尾が異なる「品詞問題」であれば、なぜその単語が正解か、なぜ他の選択肢は間違いかを説明できるまで理解する。

「そこまでのみこめれば、長文読解のパート6や7の正解率も上がっていきます」

■テスト前の1カ月は“セット解き”で仕上げ

 800点の壁を越えるためのもう一つのポイントは"セット解き"だ。藤枝さんは「1カ月を切ったら、パート3と4、パート5から7など、複数のパートを通して問題を解きましょう」と話す。本番を想定し、時間配分や集中力も鍛えるためだ。

「2週間に1回、日曜日の本番と同じ時間帯に模試を解くといいでしょう。その後の平日は、日曜日に解いた問題を紙にコピーして、繰り返し読んでください。問題の答えにつながる定型表現も覚えられ、読解力が確実に上がります」

 2カ月間、パート2と5を継続しながら単語や文法も勉強したら、前日にすべき重要なことは一つだけ。早く寝ることだ。

「寝不足などでパート1や2が聞き取れないと、焦ってリーディングにも悪影響が出ます。当日はベストな状態でテストが始まる時刻に椅子に座れるようにしましょう」

 特に2020年度開催予定のTOEICは午前と午後の1日2回行われる異例のスケジュール。常連の受験者も、いつも以上に慎重に臨もう。

藤枝暁生(ふじえだ・あきお)
SOMPOリスクマネジメントに勤務。TOEIC勉強会の講師も務める。著書に『TOEIC(R) L&Rテスト 860点 奪取の方法』(旺文社)など

(文/菅野浩二)

※『AERA English (アエラ・イングリッシュ) 2020 Autumn & Winter』より